世界史「学ばない人」「学ぶ人」大きな差が出る理由 社会に出た今こそ身につけたい教養とは?

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多くの試行錯誤を繰り返し、時には流血も伴いながら、人間が民主主義を確立させたプロセスを学ぶことは、近現代史における軸の一つです。この「激流」を知ることで国家・政治に関心を寄せて自ら選挙に足を運ぶ人が増えてくれれば、昨今の投票率の低さを憂う一人としては大きな喜びです(とはいえ、民主主義が最も優れた政治形態であると盲目的に断じることは、人間の歴史が進歩し続けることを前提とする「進歩史観」につながってしまいます。適度な批判的視座は持ち続けるようにしたいものです)。

3.世界の多彩な文明を知る

現代という海に流れ込む河川を上流へ遡っていくと多くの水源に行き着くわけですが、その中でとくに大きな水源が「ヨーロッパのキリスト教文明」「中国を中心とする東アジア文明」「東南アジアからアフリカに至るインド・イスラーム文明」の3つです。

表面的には分かっているつもりのキリスト教文明、「灯台下暗し」で新しい発見がある東アジア文明、馴染みのない方が多いであろうイスラーム文明。豊かな個性に触れられるのは、日本史では味わえない世界史の魅力の一つだと思います。

また、異文化圏出身の方とコミュニケーションをとったり海外旅行・留学・赴任する際、相手方のルーツとなる文明に関する情報は即効性のある実用的なツールにはなり得ないかもしれません。でも、関係が長く深くなると異文化圏の基層の部分にまで接することになり、歴史的な知識・理解が活きる機会が確実に増えていくことでしょう。

4.高校生の「学び」と、大人になってからの「学び」の違い

それでは、大人はどのように世界史を学んでいけばよいのでしょうか。社会人の方とのプライベートな会話で「学生の頃は世界史のテストが苦痛だったけど、大人になってから世界史に関心が湧いてきたんですよ」という言葉がけっこうな頻度で出てきます。

この理由を考えてみますと、まず様々な社会経験を通じて「現代の海」と「歴史という河川」のつながりに気づいてきたことがあるのではないか、と思っています。

そして学生の頃に苦痛だった科目になぜ大人になってから関心を持つのか? という点については、高等学校の定期テストや大学入試における出題のあり方が原因として浮かび上がってきます。

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