世界史「学ばない人」「学ぶ人」大きな差が出る理由 社会に出た今こそ身につけたい教養とは?

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大陸国家であるロシアは帝政時代から、黒海を南下して地中海にまで進出することを目指してきました。その目的は、

①冬でも凍らない「不凍港」を確保し、軍事的・経済的進出を果たす

ことにあり、ロシアは18世紀後半にはオスマン帝国に圧力をかけて黒海北岸(この地域は穀倉地帯でもありました)から突き出たクリミア半島を支配下に置きました。

19世紀に入ると、ロシアの南下政策は地中海東部においてインドへの航路を守りたいイギリスと衝突し、「東方問題」と総称される一連の国際対立に発展しました。またこの頃はヨーロッパで自由主義が高まった時期でもあり、ロシアの南下政策は、

②皇帝の専制政治に対する国民の不満の矛先を、領土拡大によってそらす

という意味合いも帯びるようになります。第二次世界大戦後の米ソ冷戦体制(ロシアは第一次世界大戦中の革命後にソヴィエト連邦と国名を改称)では、国力が低下したイギリスに代わってアメリカがソ連の「封じ込め」に乗り出し、黒海南岸に面するトルコを西側の軍事同盟NATOに引き込んでソ連の南下に睨みをきかせました。ソ連(ロシア)による黒海制圧は現代までことごとく阻まれてきたわけです。

ソ連が崩壊すると状況が大きく変わる

冷戦終結後の1991年にソ連が崩壊すると状況が大きく変わります。ソ連の崩壊によって旧ロシア帝国領から多くの国が自立して、黒海北岸はウクライナ領となり、ロシア目線ではロシアは黒海北岸を失う羽目になりました。

また、共産圏全体に対抗する軍事同盟であったNATOですが、冷戦終結後はポーランドなど旧共産圏の国家も加盟(ロシアにしてみれば、かつての子分がアメリカと同盟を組んだわけです)するなどロシアを抑えこむ性格が濃くなり、ウクライナの親欧米派の間でもNATO加盟を望む意見が高まってきました。

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