格安スマホが逆襲、大手キャリアの「牙城」に異変 悲観説を覆し、MVNOがシェアを盛り返した理由

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現在は全国に約1800の事業者が存在し、「IIJmio」を運営するIIJが業界最大手。そのほか、2001年に日本で初めてMVNOを手がけた日本通信や、「mineo」を展開する関西電力子会社のオプテージなどが有名だ。

大手3キャリアと楽天モバイル、MVNOを比べると、この1年でシェアを伸ばしたのはMVNO陣営のみだった。総務省によれば、楽天モバイルを含めたMNO4社合計の契約数は直近1年で61万の減少だった一方、MVNOは86万増えている。

MVNO各社の公式サイト
MVNOは料金プランの安さなどが持ち味とされる(画像:MVNO各社の公式サイトより)

ここにきてMVNOがシェアを拡大させているのには、意外感がある。

というのも、2021年春から本格化した大手キャリア各社の値下げによって、MVNOの料金プランとの価格差が縮小。従来、料金の安さこそが持ち味とされていた分、ユーザー目線では、MVNOに対する魅力は薄らいだと考えられたからだ。

そうした事情から、大手シンクタンクの野村総合研究所は2021年末、MVNOの回線数が今後7年で7割減少するとの予測を発表するほどだった。しかしふたを開けてみると、2022年は確かにシェアを落としたものの、2023年にはV字回復を果たした格好だ。

シェア拡大に転じた3つの理由

「MVNO悲観説」を覆し、足元でシェア拡大に転じられた要因は何か。大別すると、以下の3つが挙げられるだろう。

第1に、各社が20GB以上の中・大容量帯プランの投入を進めていることだ。これまでMVNOが展開していたプランは10GB以下の低容量帯がほとんどで、キャリアが得意とする中・大容量帯とのすみ分けがされていた。

しかしこの1~2年、MVNOはキャリアの得意とする領域への展開を加速。例えば日本通信は、2021年2月から「合理的20GBプラン」(データ使用量20GB・月額税込2178円~)の提供を始めた。同社によると、同年3月に提供されたドコモの新料金プラン「ahamo」(同20GB・2970円~)などへ対抗する狙いがあったという。

ソニーの子会社が運営するMVNO「ニューロモバイル」でも、2021年11月から「NEOプラン」(同20GB・2699円~)の提供を開始した。2023年3月からは、MVNOとしては異例とも言える大容量の40GBのプラン(同3980円~)も手がけている。

中・大容量帯のプランを投入できた背景には、MVNOがキャリアに支払う通信回線のレンタル料が下落傾向をたどっている事情もある。

MVNOがキャリアに支払う通信料の単価は、キャリア側の費用と一定の利潤の合算を分子として、それをトラフィック(通信量)の総量で割って算出する。昨今は動画視聴拡大などによって分母にあたるトラフィックが増加しており、通信料が年々下落傾向にあるのだ。

通信料の単価下落は、MVNOにとって原価低減につながる。その結果、データ容量が多いプランの提供も可能となり、これまでリーチできなかったデータ通信を多く使うユーザーの獲得にも成功しつつある。

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