「勉強は地理から始めるべきだ」東大生勧める理由 マイナー科目からなぜ始める?その深い背景

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少し話を脱線すると、みなさんはコンビニやスーパーなどで牛乳を買ったことはありますよね。

その牛乳がどこで作られたものなのか調べたことがある人はいるでしょうか?みなさんが東京で牛乳を買ったなら、その原産地は「群馬県」や「栃木県」、「千葉県」など、関東地方の近隣の県が書かれている場合が多いです。

北海道で作られているイメージがあるはずですから、少し意外かもしれません。群馬県や栃木県には、牛乳のイメージはないですよね。なぜここで牛乳が作られているのでしょうか?

この答えは、実は小中学校の社会の教科書に載っています。「近郊農業」です。

早く食べたほうがいいもの・鮮度が大事な食べ物は、消費地の近くで作って、移動にコストや時間をあまりかけないようにするわけです。そう考えると、牛乳というのは賞味期限が短く、鮮度が大事になってきます。北海道で作った牛乳を東京に持ってこようとしたらそれだけで時間も労力もかかってしまうので、牛乳は関東近辺の地域で作られる場合が多いわけですね。

茨城県で作られているのは、これとまったく同じ理由です。大市場の近郊で栽培することで、輸送費を抑えられるため、茨城県でレタスは作られているのです。そして、「出荷の時期」が問題で触れられていますが、茨城県では当然旬の時期・春と秋になります。そしてその間の夏の季節には、長野県で作られているというわけですね。

普段から意識していないと大人でも解けない

この問題、知識としては本当に小学生レベルの話です。しかし、しっかりと毎日食べるものがどこで作られているのかを意識したことがないと、大人でも東大受験生でも、解けない問題になっています。

普段から、「なんでだろう?」と考える習慣がないと解けない問題であり、東大は地理という科目を通して、そういう「なぜを問う能力」を身につけることを求めていると言えるでしょう。

僕は、「なぜを問う能力」こそが、頭のよさを作ってくれると感じます。どんなに勉強したものを覚えたとしても、この能力がなければそれを活かすことはできませんし、そもそも簡単に忘れてしまいます。

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