「勉強は地理から始めるべきだ」東大生勧める理由 マイナー科目からなぜ始める?その深い背景

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なぜそう思うのか?それは、地理が「教養を学ぶのに最適なツール」だと感じるからです。

地理って、多くの人が「世界の気候がどのようになっているのか」とか「国の首都がどこなのか」のような暗記モノだと、間違ったイメージを持っているのですが、実際は全然違います。

地形・気候・工業・資源・貿易・人口……。新聞に載っているような社会人の一般教養的な知識を、体系立てて学ぶことができるのです。

このような教養は、そのままほかの科目にもダイレクトに波及してきます。

英語の文章で、貿易・資源の話題がテーマになっている文章はとても多いですし、国語の評論文を読むときにも、少子高齢化の問題や、日本と他国との宗教や文化の違いに関するテーマが多いですよね。

理科でも世界の植生や気候を理解していれば解ける問題もあります。逆に、まったく地理の知識がない状態で教科書や問題文を読んでも、理解度が全然違うということがあるのです。

生活から出る疑問の答えを考える科目

そもそも地理とは、「『地』球上のことについて『理』由をつける科目だ」と言われています。

・なぜ、アジアには世界の人口の約6割が集中しているのか?
・なぜ、暑い季節と寒い季節があるのか?
・なぜ、日本は自動車産業が栄えたのか?

このような、普段の生活から出てくるような「なぜ」に対する答えを考える科目だと言えるのです。このような「なぜ」を考えることは楽しいですし、普段から頭を使う習慣を身につけさせてくれます。

東大の入試問題でも、こんな問題が出ています。これは、正直に言うと、小学生でもラクに解ける問題です。

長野県と茨城県はともに農業生産の盛んな地域として知られており、レタスの生産量は全国1位と2位[2017年]であるが、出荷時期は大きく異なる。その理由を、地形的要因と経済的要因の両面から述べなさい。(2020年 東大地理より)

みなさんはこの問題の答えがわかりますか?

「出荷時期」が大きく異なる、と書いてありますが、これは長野県の抑制栽培を示しているとわかる人が多いのではないでしょうか。

長野県は山が多く、高山なので冷涼な気候が広がっています。それを利用して、旬の時期をずらした栽培方法・抑制栽培が行われています。

一方で茨城県は、どんな栽培を行っているのでしょうか?

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