外国人観光客が頼る、あの東京ガイドの強み 地域密着の「タイムアウト」は何がスゴイのか
──ここ数年、訪日外国人が急増して、「タイムアウト東京」もすっかり浸透したのでは。
そうですね。英語のウェブマガジンは世界194の国と地域からアクセスがあります。「日本にもタイムアウトあるよね?」という感じで、ネットで検索をして来る人が多い。ホテルでもコンシェルジュに「タイムアウト」があるかと訪ねる外国人がいらっしゃるので、雑誌は無料で空港、外国人利用客の多い地下鉄の駅、外資系ブランドのホテルなど約400カ所に置いています。
日本ならではの体験ができる情報を届ける
──あまたある東京の観光ガイドとの違いは。
”Time Out”とは「外で過ごす時間」。お出かけを促進するメディアというコンセプトなのですが、ここ数年、訪日客(インバウンド)の間で、観光地を訪れるだけではなく、「日本ならではの体験をしたい」と考える人たちがぐんと増えた。
そこで、「東京で何ができるか」を掘り起こし、サポートするようにしています。たとえば、渋谷のスクランブル交差点で人にぶつからないで歩ける理由を知りたい、ラッシュアワーに満員電車に乗ってみたいといった、日本に住んでいる人たちが「えっ?そんなこと?」と思うような生活体験ですね。
日本人のスタッフには「外国人のコスプレをして」取材するイメージで情報を集めてほしいと伝えています。「これは外国の人が喜びそう」という視点を盛り込んでいます。
──エッジのきいた情報を提供する「タイムアウトらしさ」は意識していますか。
それは全員が意識的にやっています。コンテンツチームのメーリングリストがあるのですが、今朝も「ここでレストランオープンのチラシが出ていた」と情報が飛んでいました。アルバイト情報誌のオープンスタッフ募集をみて新規店舗の情報を仕入れたり、建設中の建物があれば工事をしている人に何が建つのか聞いてみたり、といった現場の生の情報がベースになっています。
コンテンツや企画は、地域密着ガイドなのにグローバルなメディアネットワークを持っているタイムアウトならではのユニークさがあります。「街を紹介する切り口」のストックがとにかく豊富。たとえば、ロンドンは1968年に創業して以来、毎週色んな角度で今までロンドンを紹介してきた。そこで人気になった企画をドバイやサンパウロなど他都市でやってみて、「そのままではウケなかったけれど、こうしたらよかった」という視点が共有され、グローバルで通じる企画になる。
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