正社員解雇のハードルは、当分下げられない オリックス元会長の炎上発言、弁護士の見方

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そもそも、正規雇用(正社員)は一度採用されたら、クビにできないのだろうか。

「企業には、正社員を解雇する『解雇権』がありますが、この解雇権は、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当であると認められない場合には、無効となります(労働契約法16条・解雇権の濫用(らんよう)法理)。

この『客観的に合理的な理由』や『社会通念上の相当性』については、これまでの裁判例では相当高いハードルが設けられていました。しかし、これは『できない』という意味ではなく、『難しい』だけです。現行法下でも、能力不足や適性欠如などを理由とする解雇は行われています」

労働者がいつでも転職できる世の中か?

では、「働かない正社員」を簡単にクビにできるように、解雇のハードルを下げるべきだろうか。

「少なくとも労働市場自体に大きな変化がなければ、解雇が容易に認められるような法改正を行うべきだとは思いません」

どうしてそういえるのだろうか。

「多くの正社員は、終身雇用を前提として、『大きな問題さえ起こさなければ、定年まで勤めることができる』といった期待を持っています。

解雇を容易にするのであれば、それだけ労働市場が流動化し、労働者がいつでも転職できるような世の中になっていることが必要だと思います。しかし、少なくとも現時点では、そうなっているとはいえません」

では、現行法下での問題はないと言えるのか。

「解雇を争う訴訟では、判決にまで至った場合、労働者の解雇が認められるか、それとも復職させるか、といった白か黒かをハッキリと付けることになります。

しかし、いずれの結論でも、双方の信頼関係がなくなってしまったあとでは、『適切な解決』とはいえません。そこで、金銭支払いを条件として労働契約を解消することを認めるような法整備は、おこなわれてもよいのではないかと思います」

原弁護士はこのように述べていた。

原 英彰(はら・ひであき)弁護士
人事労務を中心に、企業法務を中心に取扱う。企業側の立場での団体交渉の経験が豊富で、週1回ペースで出席している。
事務所名:竹林・畑・中川・福島法律事務所
 
 
 
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