「できる範囲でやってます」上司が悩む若手の一言 「辞められると困るから強く言えない」課長の末路
ただ、10年ぐらい前なら、この言い分は通じただろう。だが最近は違う。
「そこまでやる必要があるんですか?」
と遠慮なく言い返されてしまう。このフレーズも、課長を相当に悩ませた。「そこまでやる必要があるんですか?」と言われるたびに、耐えられない気持ちになった。
料理でたとえると、わかりやすいかもしれない。
「お客様の期待に応えられるような、そんな料理を作ってほしい」
上司が部下にそう伝えるのは、当然だ。もし期待を下回る料理しか作ることができなければ、上司はその姿勢に「ダメ出し」をするだろう。
なのに、
「自分なりに頑張ってます」
「そこまでやる必要があるんですか?」
と反論されたら、上司はお手上げだ。店長に申し出て、「もう店を辞めさせてください」と言いたくなる気持ちも、わからないでもない。
「厳しさと優しさの配分」をどうすればいいのか?
筆者が講演をしていると、経営者やマネジャーの方々から次のような質問をよく受ける。
「厳しさと優しさの配分はどうしたらいいですか?」
厳しくすれば辞めてしまうかもしれないし、優しくすると期待した成果を出してもらえない。厳しさも優しさもどちらも大事だと思うが、どう配分したらいいのか。悩ましいというのだ。
この課長も同じだった。
彼の頭を駆け巡ったのは、過去に厳しく指導した結果、辞めてしまった若者たちの顔だ。その教訓から、厳しく指導することへの恐怖心が生まれた。
そこで彼が選んだ道は、コーチングだった。
自費で合宿研修やオンランのコミュニティに参加して、情報交換を繰り返した。
上司が部下によく使う効果的な質問も、何度も試した。
「今の仕事に対して、何がいちばん難しいと感じているか?」
「君の強みは何だと思うか? それを今の仕事にどう活かせるのか?」
「君が決断を下すとき、何をいちばん重視するか?」
これらの質問は、部下の自己解決力をアップするのに効果的だと教えられた。しかし、その通りにやったのだが、効果はなかった。
「よくわかりません」
「課長はどう思ってるんですか?」
「この質問って、何のためにやってるんですか?」
と言われる始末。部下2人に対して、しっかり時間をとり「1on1ミーティング」を繰り返した。それでも関係はギクシャクした。
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