巨大駅新宿、再開発で南へ拡大「駅前」の成長余地 さらなる発展のカギを握る歩行者動線の整備

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東南口側は、新宿三丁目駅付近にかけて、数多くの飲食店が集まる少々雑然とした繁華街になっている。新宿駅の東南口広場(新宿さくらスクエア)も手狭な感じだ。JR東日本には甲州街道改札や新南改札などがあるものの、東南口からタカシマヤ タイムズスクエア方面へのアクセスも、今ひとつの感がある。

今後は、この辺りの整備が着目されるだろう。ただ池袋でもそうであるが、無機質な再開発は歓迎されまい。ただでさえ新陳代謝が激しい新宿だが、西口側の新宿郵便局周辺とともに、昔ながらの町が残ってほしいエリアだ。そして何より「歩く街」としての繁華街を重く見るべきだろう。

新宿駅東南口
東南口広場は新宿さくらスクエアと愛称が付けられた(筆者撮影)
新宿武蔵野通り
東南口側にある繁華街の新宿武蔵野通り(筆者撮影)

南側へ広がっているのは駅周辺の街だけではない。新宿駅そのものも、1986年の埼京線開業にともなって現在の1・2番線ホームが新設されてより、旧貨物駅用地も利用する形で南へと広がってきた。現在、1〜4番線には埼京線、湘南新宿ラインが盛んに発着しているが、位置的には山手線や中央線のホームよりかなり南へずれている。北側の最寄り改札口は中央東改札、中央西改札だから東西自由通路方面へ出ようと思うと少々面食らう。

5・6番線ホームはさらに南にずれており、ホーム南端のすぐ目の前には隣駅代々木のホームがある。北端は甲州街道改札の真下付近だ。2003年に新設されたホームで、2008年3月15日ダイヤ改正以降は、成田エクスプレスや東武鉄道日光・鬼怒川温泉直通特急、東海道本線方面への特急などの専用ホームとして使われている。常に混雑している新宿駅の中で、もっとも列車が発着する頻度が低いホームである。

新宿駅にはまだ余力がある

コロナ禍前、忘年会シーズンの埼京線の大宮方面行き最終列車を取材した経験があるが、3・4番線ホームにはこぼれ落ちんばかりの客が集まり、少々危険な状態であった。それに対し、5・6番線ホームは照明も落とされて無人。臨時列車も増発されている状況で活用されていないのはもったいないと感じた。

新宿駅新南口
線路上に建設された新南口と山手線。右端に5・6番線ホームが見える(筆者撮影)

現在は利用客減少から回復しつつある状況だが、いずれ以前の盛況に戻るよう、JR東日本は期待している。その際に、手持ちの設備を活用するなら、この5・6番線ホームに一部の通勤列車を発着させて混雑緩和を図る方法もあるだろう。新宿駅にはまだ余力がありそうなのだ。

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土屋 武之 鉄道ジャーナリスト

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つちや たけゆき / Takeyuki Tsuchiya

1965年生まれ。『鉄道ジャーナル』のルポを毎号担当。震災被害を受けた鉄道の取材も精力的に行う。著書に『鉄道の未来予想図』『きっぷのルール ハンドブック』など。

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