栗山氏が感心「大谷翔平のヌートバーへの心配り」 ヌートバーを侍ジャパンに受け入れた経緯
鈴木の心配りを我々が引き継ぎ、ヌートバーを誠心誠意受け入れる。受け入れる側の私たちが先入観を持たずに、心を開くことが大事だ、ということをコーチ同士で確認しました。
心を開いていることを、行動で示すにはどうしたらいいだろう。清水雅治外野守備・走塁コーチが、「ニックネームで呼びましょう、それもちゃん付けにしましょう」と提案しました。これは素晴らしいアイディアでした。アメリカで呼ばれている「ラーズ」ではなく、ミドルネームの「タツジ」から「たっちゃん」にしようということになりました。清水は17年から侍ジャパンに関わっていて、チームが素早くまとまるための術を心得ていました。
3月3日の合流初日には、特製のTシャツを着て迎えました。ニックネームで呼ぼうと決めた夜に、すぐに製作に動いていたのです。
背中に「たっちゃん」と書いているもので、ヌートバー本人もその意味を聞いてびっくりしたそうです。「みんなが僕の名前の入ったTシャツを着てくれていたから、気持ちが楽になった」と、嬉しそうに話していました。
私が毛筆書きの手紙を渡したように、Tシャツの文字もあえて毛筆タッチにしました。日本人の私たちと心を重ねて、一緒に戦っていこうという気持ちを伝えたかったのです。
自分の心を開いて、真正面から接していく
私たちの身の回りへ視線を移すと、コミュニケーションの取りかたが難しくなっていると感じます。ハラスメントにならないように気をつける場面が増えて、言葉をかけることに慎重になったり、臆してしまったりもします。
乱暴な言葉や態度で誰かを傷つけたりすることは、絶対に避けなければなりません。高圧的な態度にならないように、相手と目線を合わせることを意識したいものです。
そのうえで、自分の心を開いて、真正面から接していく。言葉が通じなくても気持ちは届くということを、私はヌートバーとの関わりを通して確認することができました。
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