「その女性は結婚相手としてどうなんだろうか。200万円の指輪を男に平気な顔でねだれる女性と結婚したら、先が思いやられるぞ」
そして、次に女性に会ったときに「親も出せないと言っている」という話をしたら、その翌日、「今回の結婚話はなかったことにしてほしい」と、婚約破棄の話が来たそうだ。
筆者は、まさのぶに言った。
「親御さんがおっしゃったことは、当然だと思いますよ。金銭感覚が違う相手と結婚すると、結婚してからが大変です。結婚は一生のことですから、婚約破棄になってかえってよかったのではないですか?」
こんな女性が結婚相手に選ばれる
面談のあと、まさのぶは入会し、心機一転、婚活をリスタートさせた。
最初に5人の女性とお見合いを組み、そこから仮交際に入ったのが3人。そして、そこから真剣交際に入ったのは、一番目にお見合いをしたみゆき(36歳、仮名)だった。
真剣交際に入ってからも、みゆきとは順調に関係を育んでいた。私はまさのぶに、前回の婚約破棄とは同じ轍を踏まないように、お金の使い方や考え方については、結婚を決める前にしっかりと話し合うことを勧めた。
プロフィールに年収は出ているが、貯金額は出ていない。今、貯金がどのくらいあるのか。
また、結婚したら、1カ月にどのくらいの金額で家計をやりくりしていくのか。結婚後も女性が仕事を続けるとしたら、家計のお金の一部負担をしてもらうことは可能なのか。その金額はいくらなのかなど、包み隠さずに話し合うことが、結婚前には大事なのだ。
また、結婚の話がより具体的になってきたら、婚約指輪や結婚指輪の金額、両家の挨拶をどうするか、どんな結婚式を挙げるかなども話したほうがいい。
まさのぶはみゆきにこれらの話をしたが、そのときの彼女の反応で、違和感を覚えたことは、ほぼなかったという。
そして、お互いの心が決まったところで、まさのぶがプロポーズし、それをみゆきが受けた。
筆者の相談所では、成婚が決まると2人を呼んで食事をしながらのお祝い会をやるのを恒例にしている。みゆきは、他の相談所の会員だったので、お祝い会で会うのが初めてだったのだが、話をしてみると、地に足のついたとても堅実な女性だった。
左手の薬指には、小さなダイヤが1つついたシンプルな婚約指輪が光っていた。それは、まさのぶの身の丈でプレゼントできる値段で、何百万もする高価なものではなかったが、幸せそうな笑顔を作っているみゆきには、とても似合っていた。
みゆきは、前の婚約破棄の話もまさのぶから聞いていたようだ。話がそのことに及ぶと、こんなことを言った。
「まさのぶさんが、これまでどんな人とお見合いしてきたか、どんな生活をしてきたか、貯金はいくらあるかを、私には包み隠さず話してくださいました。でも、それは私と出会う前のことだから、過去はどうでもいいんです。大事なのは、これから2人がどんな関係を築いていくか。貯金もこれから2人で貯めていけばいいと思っています」
無料会員登録はこちら
ログインはこちら