放置したままの「空き家」は巨大リスクの塊になる 損害賠償責任を負わないため法律を把握しよう

拡大
縮小

空き家は、往々にして物があふれている。不要な物、取っておきたい物、重要書類を選別し、まずは不要な物を処分する。重要書類は場所を決めて保管する。次に、どのような空き家かを確定する。以下の資料を集めるのがよい。

登記事項証明書(不動産の所在や権利関係を証明する書類。法務局の窓口やネットサービスで取得できる)、固定資産評価証明書(固定資産税、都市計画税を確認することができるもの。市区町村の役所などで取得できる)、購入時や建築時の書類、空き家が借地上に立っている場合は土地賃貸借契約書、マンションの場合はマンション管理規約(マンションを適切に維持、管理するためのルール。マンション管理組合や管理会社から取得することも可能)。

隣地との境界に要注意

空き家はトラブルの温床にもなる。その原因もチェックする。

まず、空き家の購入時や建築時の資料、登記事項証明書などから、空き家が建てられた年を確認する。建築年が1981年(昭和56年)以前の場合は旧耐震基準の建物と推測できる。この場合、空き家は倒壊するリスクがあり、専門家への相談や空き家の補修工事が必要になることがある。

次に、隣地との境界を確認する。境界が曖昧な場合、隣地とのトラブルに発展するおそれがある。空き家の売却が困難になる場合もある。確定には時間のかかることが多いため、早めに確認したい。

次に隣地への越境がないか(樹木や家屋のひさしなどが隣地に越境していないか)。越境がある場合は「越境部分を切る」、あるいは隣地の方との間で、「越境に関する覚書」(越境の解消時期や損害賠償など、越境に関する合意内容を記した書面)を作成するとよい。

高低差のある敷地では、崖側を支える擁壁が劣化している可能性もある。擁壁にひび割れなどの劣化が認められる場合、家屋倒壊の危険性があり、空き家売却に悪影響を及ぼす(買い手がつかない、売却額が低くなる)ので、直ちに擁壁の補強工事を行う。

空き家が借地上に立っている場合は、土地賃貸借契約書を確認しよう。ここでは賃貸期間と地代を確認する。空き家を売却する場合、地主の承諾を得る必要があり、地主との良好な関係を維持したい。賃貸期間満了の場合、更地返還が原則であり、空き家の解体費用を負担しなければならない。その際は、解体費用を免除してもらえるように地主と交渉する、あるいは土地賃貸借契約を更新することも検討する。

次ページ最終的に空き家をどうするか
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT