外国人が気がついた「日本の空き家」圧倒的な魅力 問い合わせが3年で5倍に増えた不動産業者も

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空き家
約300万円で空き家を購入したオーストラリア出身のジャヤ・サーズフィールドさん(写真:Andrew Faulk/The New York Times)

数年前、ジャヤ・サーズフィールドさんは、日本で購入したいと思える家を見つけたが、友人や家族からは忘れるように言われた。問題が多すぎだと言われたのだ。その家は7年前に放棄され、肩まで伸びた雑草の林の中に立っていた。それは、日本全国に数百万棟ある「空き家」のうちの1つであった。

しかし、オーストラリア人ソフトウェア開発者である46歳のジャヤさんは、そんな言葉には動じなかった。生い茂った庭を通して見ても、この家が特別なものであることがわかった。

黒い屋根瓦は、普通の家よりずっと高い位置から、わずかにカーブした軒先に向かって傾斜している。玄関ホールにも切妻屋根がある。2700平方メートルのこの家が、農家というよりも仏教の寺院のように見えたのは、1989年に寺院の建築家によって建てられたことが理由である。

「広い庭」求めてロンドンから日本へ引っ越し

ジャヤさんと日本生まれの妻・チヒロさんは、広い庭のある家を買うという夢を持って、2017年、2人の幼い息子と共にロンドンから日本に引っ越してきていた。空き地を購入して家を建てる計画だったが、日本では土地が高く、彼らの予算では無理だった。そこで彼らは、より安く、より広い土地を持っていることが多い、そしてこの国で増えつつある廃屋に目をつけたのだ。

こうした考えを持っているのは彼らだけではない。

「空き家でなければ、この質と大きさの家は買えなかったでしょう」と49歳のチヒロさんは言う。「また、多くの日本人は中古住宅を好みませんが、外国人は安い家を見つけて、自分の好みや予算に合わせて再利用やリノベーションを行うことに積極的です」。

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