外国人が気がついた「日本の空き家」圧倒的な魅力 問い合わせが3年で5倍に増えた不動産業者も

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「最初は、日本在住の方やオーストラリア人、シンガポール人からの問い合わせがほとんどでした」とケッチャムさんは語る。「しかし、今では状況が変わり、海外のクライアントの大半がアメリカに拠点を置いている人たちです」。

多くのクライアントがパンデミックに刺激された結果、「日本に住む人々の、田舎暮らしに対する考え方は間違いなく変わりました」とアレンさんは言う。「日本の田舎の不動産の大部分が過小評価されており、ほぼすぐに利用可能な物件が存在しているという事実に、人々はようやく気がついたのです」。

四国の廃屋を約2400万円で購入

メリーランド州出身の作家であり、東洋文化研究者のアレックス・カーさんは、1973年に日本の4つの主要な島の中で最も小さい四国の山中にある廃屋(民家)を1800ドル(約2400万円)で手に入れ、空き家オーナーになった。

笛の家という意味を持つ、篪庵(ちいおり)と名付けられたこの茅葺屋根の民家は築300年である。内部は、磨き上げられた木の床板、大きな囲炉裏、煙に包まれた巨大な天井の垂木など、陰影のある空間が広がっている。外は渓谷の熊谷川から霧が立ち上っている。

70歳のカーさんは、空き家が金食い虫であることを最初に認めた。彼は何十年もかけて約70万ドル(約9400万円、その約半分は政府からの助成金によるもの)をかけて維持しながら、現在はゲストハウスとして貸し出している。

この物件は、彼が長年にわたって修復してきた日本の財産のひとつである。その一方で、自治体や企業、自宅の持ち主が自分の物件の価値を認識していないような場合には、保全や地方活性化の重要性を説いている。

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