価値ない実家を相続放棄したい時の注意ポイント 「自治体に寄附」は困難、引き取り探しは茨の道

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
実家の処分で悩む人が多い(写真:kker/PIXTA)
まったく手入れされていない遠方の山林や田畑など、活用価値を見出せない土地や、財産的な価値のない空き家になった実家を相続することになってしまった場合、どうすればいいでしょうか? こうした問題の解決法について、『絶対に後悔しない家の売り方』より一部抜粋・編集のうえ、ご紹介します。

活用するあてのない土地や財産価値のない空き家になった実家を相続した場合、漠然とこのように考えておられる方が多いです。

「相続放棄すればいいですよね?」

「自治体に寄附したら、引き取ってもらえますよね?」

しかし、そう簡単に手放せないのが、もらい手のない土地の難しいところです。じつは、民法によると「次の相続人が管理をはじめるまで」管理義務がおよぶと規定されています。

つまり、相続放棄をしても、相続人が1人しかいなくて、後順位の相続人がいない場合や、複数の相続人がいても全員が相続を放棄し、最後の相続放棄人となった場合は、その人が管理責任を持ち続けなければならないのです。

相続したくないから放棄したのに、責任は継続する……。

法改正後も注意は必要

なんとも理不尽な話ですが、この問題に対して解決策は見出せていない状態でした。そこで「相続放棄をした者の義務」について、2023年4月から民法が改正されることになりました。その内容としては、相続放棄の際、相続財産に属する財産を現に「占有」していなければ、管理・保存義務を負わないことになります。

これは、相続放棄した際に、たとえばその物件が空き家であれば、相続放棄をする人は占有(居住等)していないので、責任は負わないということです。

いままでは、いきなり知らない不動産を管理せざるをえなかったことを考えると、とても画期的な改正と言えます。ただ、改正後もさまざまな法解釈ができる部分のため、運用開始後の見極めは必要です。

次ページ相続放棄のトラブルを回避する術
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事