45歳過ぎたロザン菅さん語る「中年」の生き抜き方 「40代だからこそ、シンプルなビジョンに立ち返る」
「今となっては若気の至りですけど、『宇治原さんとならこの世界に入っても絶対にうまくいくやろ』って思っていたんです。1ミリも失敗する不安なんてなかった。
誰かと何かをやろうと思ったときに、ブレない気持ちがあるかどうかということは、大事なのかもしれません。誰かと同じ方向に進むときに、その方向に絶対の自信があるかどうかです。
とはいえ『京大芸人』にも書いたんですけど、僕らはデビューを志してから1年半ぐらいの間、オーディションに落ち続けています。それでも1ミリも不安はなかったですね」
この人なら、という信頼感。そして進む方向への確信。このふたつが、菅さんを突き動かしていた。その道のりでは上手くいかなかったこともあったが、信念を持ってハードルを乗り越えてきた。
お互いへの信頼や自らの仕事の確信を保つために、彼らが多大な努力をしてきたことはいうまでもなく、その様子はロザンの日ごろの活動にも滲み出ている。そんな視点を持って彼らの漫才やYouTubeチャンネル「ロザンの楽屋」を見てみると、ロザンの新たな魅力や、見る側の人生にも活かせるヒントが発見できそうだ。
頭の良い人を味方につけるロザン・菅式ノウハウ
ロザンの漫才は明晰な宇治原さんの特徴を生かしたネタが多い。笑いながらも勉強になる漫才は、多くのファンを虜にしてきた。菅さんの緩急あるボケの数々に、頭の回転の速さを駆使して鋭いツッコミを入れる宇治原さん。2人の息のあった掛け合いの妙が魅力のロザンの漫才だが、それを演出しているのはネタ作り担当の菅さんである。
「頭の良い人」に遺憾無くその能力を発揮してもらうことはビジネス成功の上でも重要なことで、そこに課題を感じている読者もいるかもしれない。力を持て余す部下に手を焼いているケースもあるはずだ。相方の頭脳をうまく引き出す菅さんに、その秘訣を聞いた。
「かしこ(頭の良い人)が陥りやすいのが、周りと話が通じないという孤独。心を閉じてしまいがちなんです。そんな人にはそっと手を差し伸べて、周囲とうまくつないでやればいいんやと思います。
そのためには、まずその人の懐に入ること。頭の良さは褒められ慣れているはずなので、新鮮な褒め方をして手懐けるのはどうですか。『手がキレイだね』とか」
自分が橋渡しとなってその人と周りをつなぎ、デキる人の能力を引き出しやすい環境を作る。そうすることでチームはより機動力を高められる。「世の中、いかにかしこを味方につけられるかが勝負やと思います」と冗談交じりにうそぶく菅さんだが、何かテクニックはあるのだろうか。
「宇治原さんにもよく言ったんですよ……ツッコミが早いって。理解するスピードが早過ぎるから、お客さんにまだボケが伝わってない段階で、突っ込んでるときがあったんです。そうすると、お客さんはツッコミの内容もわからないでしょう?
だから『観客にボケが伝わるまで待つために、0.1秒ちょっと、ツッコミを遅くしてくれ』と言いました」
菅さんが間に入って宇治原さんと観客を橋渡しすることで、ロザンの漫才は笑いを生む。理解のスピードが速い人と、そうでない人。その場の空気をつかみ取って、コミュニケーションのスピードを調整し、人々の理解を助け、能力のある人には十分にパフォーマンスを発揮させる。人気漫才師の話芸は、そっくりそのままビジネスシーンで役に立つテクニックだ。
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