「虐殺の町」ブチャで進む復興と占領の過酷体験 ウクライナで見た戦時下の緊張と未来への胎動

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ブチャ市内を回ると、砲弾の跡が残っているビルも目にしたが、激しい戦闘があったヴォクザルナ通りも整備され、真新しい家屋も目に付いた。

市内には砲弾の跡が残るビルもあった
ブチャ市内には砲弾の跡が残るビルもあった(筆者撮影)

バルトシュさんはブチャの現状について、「復興はとても早く進んでいる。通りがこんなにきれいになったのは初めて」と話した。

「虐殺の町」から「復興の象徴」へ

ブチャはロシア軍の占領下に入ったため、兵士の蛮行に晒されたが、戦闘による破壊はイルピンに比べて少なかったことも幸いしている。イルピンでは70%の家屋が破壊されたのに対し、ブチャは23%に止まった。

キーウの外交筋によると、すでに復興の機運は高まっており、第2次世界大戦以来最大の復興ブームが来るとの期待が高い。

6月21、22日にロンドンで開かれたウクライナ復興会議で、計600億ユーロ(約9兆4000億円)の支援が各国から表明された。世界銀行の試算では復興費用は総額で4110億ドル(約59兆円)と巨額である。

キーウ近郊でも、ブチャ以上に破壊されたが、復興に手がついていない町もある。ブチャの急テンポの復興は、虐殺の町という負のイメージを払拭するとともに、国際社会にアピールするモデルケースにして、復興資金を呼び込む意図も込められている。

三好 範英 ジャーナリスト

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みよし・のりひで / Norihide Miyoshi

みよし・のりひで●1959年東京都生まれ。東京大学教養学部卒。1982年読売新聞社入社。バンコク、プノンペン、ベルリン特派員。2022年退社。著書に『ドイツリスク』(2015年山本七平賞特別賞受賞)『メルケルと右傾化するドイツ』『本音化するヨーロッパ』『ウクライナ・ショック 覚醒したヨーロッパの行方』など。

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