信長49歳での死「本能寺の変」我が子に抱いた疑心 想定外の家臣の裏切り、どんな反応だった?

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信長・信忠を討ち果たした光秀は、落人狩りのため、家々を捜索させた。洛中の町屋に明智の軍勢が踏み込んできたので、都は騒然となった。光秀は信長を討てば多くの者が自分に味方してくれると考えていたかもしれないが、その見通しは甘かった。

「人質を出し、味方せよ」と勧誘した勢田城主・山岡景隆に「信長公には高恩がある。同意できかねる」と早々に加勢を蹴られている。

多くの人々に衝撃を与えた本能寺の変

光秀は、近江から織田方の軍勢が進軍してくるのを恐れ、その日のうちに近江国へと向かう。安土にいた織田に仕えていた人々は「信長死す」の噂が流れてくると、初めは狐につままれたような顔をしていたが、しだいに大混乱となる。

信長や信忠の死を嘆き悲しむ者はおらず、自身の進退に汲々とする有様であったという。貴重な道具類もそのままに、妻子のみを連れて、故郷に帰る者も多かった。本能寺の変は、多くの人々に衝撃を与え、混乱の坩堝へと突き落とすことになったのだ。

濱田 浩一郎 歴史学者、作家、評論家

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はまだ こういちろう / Koichiro Hamada

1983年大阪生まれ、兵庫県相生市出身。2006年皇學館大学文学部卒業、2011年皇學館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。専門は日本中世史。兵庫県立大学内播磨学研究所研究員、姫路日ノ本短期大学講師、姫路獨協大学講師を歴任。『播磨赤松一族』(KADOKAWA)、『あの名将たちの狂気の謎』(KADOKAWA)、『北条義時』(星海社)、『家康クライシスー天下人の危機回避術ー』(ワニブックス)など著書多数

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