「合理的ではないのに上手くいく」チームの秘訣 強豪サッカーチームの奥深い戦術論とは?
しかし場合によっては、サイドフロントを使うことがメリットになります。
・相手のプレスの移動距離が若干遠くなるためサイドチェンジのボールを蹴るまでの時間をつくれる
・相手を引きつけてのスペース創出=サイドバックや周りの選手が相手に対して圧倒的な質の優位性があればボールを失わずに済み、ボールを奪おうとしてくる相手を引きつけられるため逆サイドや裏にスペースをつくれる
・低い位置で絞った状態でボールを失う場合よりも、張っていて失ったほうが自陣ゴールまでの距離が遠く角度も少ないので、ピンチに直結しにくい
アーセナルの武器「パスカットイン」
(3)ウイングがファジーゾーンに立たない→パスカットインで突破
相手サイドバックと相手サイドハーフの中間を「ファジーゾーン」と言います。ウイングが前向きにパスを受けてそのまま相手サイドバック(もしくは相手ウイングバック)にドリブルを仕掛けられる位置ですね。
そこに攻撃者が立つことで、相手サイドバックと相手サイドハーフの判断を惑わせ、相手の陣形を横に伸ばす効果があります。合理的なチームでは「ファジーゾーン」に立つのが原則です。
では、ウイングが「ファジーゾーン」より高い位置に立ち、相手のサイドバックに掴まったらどうなるでしょうか? 普通に考えたら、そこへパスを通すのは簡単ではないですよね。
ところが、アーセナルはこの状況からでも打開できるんです。ウイングが瞬間的に外から中に入って受ける「パスカットイン」を実行しているからです。
サイドバックがボールを持っているときに、高い位置で張っているウイングがタイミングよく内側へ動き、そこへパスを通す連携。フットサルで言うところの「アラコルタ」。
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