ただし、2社は取り扱う製品が微妙に違うため、各事業の利益率は異なります。全体的にみれば、大日本印刷の方がやや効率的に稼いでいます。
「人材」「資金」「戦略」があるから生き残れた
印刷業に限りませんが、各業界のトップ企業に共通する点は、事業構造を時代に合わせて柔軟に変化させているということです。ここで見たように、大手の印刷会社では、印刷ばかりをやっているわけではありません。自分たちの得意分野を活かして、次々と派生事業を展開しているのです。このあたりが、「印刷不況」にあえぐ、中堅中小以下と異なるところです。
大日本や凸版のように、トップ企業の経営者は、自社の財務力を勘案しながら、自社の強みをどのように活かせばいいのかということを考え続けています。業績が落ち込んでからでは遅いですから、常に考え続けているのです。
しかも、トップ企業には、新しい事業をやれる人材がいます。新しいことを考える「思考力」と、新しい戦略を実現できる「実行力」を兼ね備えた優秀な人材がたくさんいるのです。
さらには潤沢な資金もありますから、新たな試みを積極的に行えます。「人材」と「資金」があるからこそ、時代のニーズにあわせて柔軟な変化ができるのです。
一方、トップ以外の会社は、主力事業のみをやり続ける傾向があり、長期的にじり貧になっていくケースが多いと感じます。新しい事業をやれる人材も資金もないからです。もちろん、中には優秀な経営者が思い切った事業改革を行って成功した例もありますが、それはほんの一部です。
会社が生き残るためには、変わり続けられるかどうかが鍵になります。環境はどんどん変わっていきますから、環境変化に対応しなければならないのです。
大日本印刷と凸版印刷は、変わり続けてうまく生き延びている企業の典型例だと言えます。逆に、中小以下の印刷会社は、かなり苦しい経営に迫られているところがほとんどです。印刷業の倒産件数も増加傾向にあります。
ただし、トップ2社の業績も右肩上がりというわけではありません。新しいサービスや製品の開発や海外進出なども含め、今後の戦略に注目です。
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