マクドナルドができていない「基本中の基本」 店舗改装や地域対応の前に足元を見つめ直せ

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男子トイレの清掃チェックリストを入れると思われるクリアファイルに、肝心のリストが見当たらない(西武新宿駅前店15時30分)。レジ前にあるラックにポテトの残骸が転がったまま(JR新宿南口店15時50分)。飲み残しのある紙カップやガムシロップがテーブルに置かれ、一部の液体が座席、床に散乱して拭かれていない(池袋西口店17時02分)。お客が持ち込んだと思われる市販のペットボトルが放置されている(渋谷東映プラザ店18時45分)――。

これらはマクドナルドの各店舗で、4月21日夕方のほんの3時間余りに筆者が目撃した光景だ。新宿、池袋、渋谷という東京都内でも屈指の繁華街にある主要店舗を集中的に10店近く回ってみた。

業態の特性上、店内が汚れてしまうのは避けられないものの、相対的に忙しくないランチタイムではない時間帯にもかかわらず、複数店の客席で美観を損ねている場面が多々見受けられた。冒頭の記述は一例にすぎない。店舗内のことなのでここに掲載はしないものの、カメラでその様子も撮影してある。

15年12月期は380億円の最終赤字へ

日本マクドナルドホールディングスが、業績悪化に苦しんでいる。4月中旬に発表した2015年12月期の連結業績予想は、最終損益が380億円の赤字。2期連続で大幅な赤字に沈む(2014年12月期は218億円の最終損失)見通しだ。昨年発覚した中国の食品会社が消費期限切れの鶏肉や牛肉を使っていた問題や、今年年初に相次いだ異物混入問題などを受けた客離れに歯止めがかかっていない。

日本マクドナルドはこの苦境を立て直すため、不採算の131店舗を2015年中に閉鎖するほか、今後、4年間で全国の約2000店舗を改装していくことなどを盛り込んだ「ビジネスリカバリープラン」を表明した。現在25%のモダンな店舗の割合を90%まで高め、2015年には約500店舗を一気に改装する。このほかにも新しいメニューの導入やアプリを中心としたモバイル対応の強化、地区本部制の設置を柱に地域に特化したビジネスなどに取り組む。

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