マクドナルドができていない「基本中の基本」 店舗改装や地域対応の前に足元を見つめ直せ

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時代は「モノ」の消費から「コト」の消費へ移行している。店舗の内外装は快適な空間という「コト」を提供する上で大事なファクターとなる。地域ごとに戦略を細分化する「ローカライズ」も時代の流れに合っている。

「基本中の基本」は店舗の清掃徹底と美観の維持

ただし、これでは不十分だとあえて指摘したい。いくら店舗の内外装を整え、新しいメニューを入れ、モバイル対応を強化して地域に根ざしたとしても、外食店のような接客・サービス業としての基本ができていなければ、客足や信頼を取り戻すための根本的な問題解決にはならない。その「基本中の基本」の一つが店舗の清掃を徹底的に行き届かせ、美観を保つことだ。

各店舗で清掃や美観の問題点が散見されるような今の状態は、望ましくない。人間の判断に影響を及ぼす心理的効果で「ハロー効果」がある。ある対象を評価するとき、顕著な特徴に引きずられて他の特徴について評価が歪められる心理現象のことをいう。例えば、仕事ぶりをちゃんと見ないで、学歴で人を一定程度評価してしまうこと。いい意味でも悪い意味でもつかわれる。

ハロー効果を今回のマクドナルドのケースで当てはめるとどうなるのか。お客は客席の清掃が行き届いてないと、工場の生産工程や厨房のそれについても、悪いイメージを持ちかねない。

工場の生産工程でいえば、日本マクドナルドは信頼回復に向けた手はちゃんと打ってきた。原材料の調達先を見直し、国際標準の衛生管理手法であるHACCPなどの品質管理システムを構築し、従業員の衛生に対する意識向上の啓蒙など対策を講じてきた。

主要原材料、最終加工国の情報公開などを積極的に行い、臨時追加監査の実施や毎月の現場での作業確認の徹底、外部機関による製品の日本到着ごとの検査の実施などを行い、原材料の品質管理を強化してきた。HACCPでは、製品の製造・加工工程において衛生問題が発生するおそれのある重点管理点を定め、これを連続的・重点的に監視することで、製品の安全と衛生を管理してきた。時間とコストを注いで世界的にも類を見ない高度な対策を行っている。

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