夏かぜの代表「ヘルパンギーナ」は大人も要注意 高熱と喉の痛み「手指消毒では感染を防げない」
コクサッキーウイルスは、まれに心筋炎を起こす。心臓の筋肉の炎症で、急激に発症し、具合が悪くなり、致命的となる。昨秋からイギリスの南ウェールズでは新生児、乳児で心筋炎が多数発生したとの報告があり、心筋炎を起こしやすいとされるコクサッキーB群ウイルス4型が検出されている。同様の事は日本では報告されていないが、このタイプのウイルス感染が広まる可能性はある。
現時点で、日本、および欧米、インドの有力なワクチンメーカーではワクチンを開発していない。唯一、中国のワクチンメーカーがエンテロウイルス71型に対するワクチンを製造し、販売している。この型のウイルスは中枢神経合併症を起こしやすく、病原性が高いため、特別にワクチンが開発された。なお、このワクチンは他のエンテロウイルスに対する予防効果はない。
症状で見分けることは簡単ではない
高熱が出て喉の強い痛みを起こし、子どもに多い感染症としては、A群β溶血性連鎖球菌による咽頭炎も有名だ。これは診断してきちんと抗生剤治療をすれば、すぐに症状が軽快するし、後年になって合併するリウマチ熱(心臓の弁が炎症を起こして破壊されてしまう)を防ぐことになる。
クリニックでは綿棒で喉を拭って、抗原検査という検査キットを用いて15分ほどで調べることが可能だ。ただし、溶連菌にもC群やG群などキットでは検出できないタイプがあり、また溶連菌でない菌、代表的にはフソバクテリアが原因となっている場合がある。最終的には、喉の見た目などから総合的に判断して抗生剤治療することも多い。3日後くらいに水疱ができてきて、「ああ、ヘルパンギーナだったね」ということはしばしば経験する。
3年ほどウイルスにさらされていないため、ウイルスに対する免疫が低下し、子どもに限らず高校生や大人のヘルパンギーナも多い。実は、コロナウイルス感染症も高熱と咽頭痛で発症することが多い。数日たって水疱ができてくれば間違うことはないのだが、大抵の方は高熱に驚いて発症日や翌日に受診されるため、見分けることは困難だ。熱や咽頭痛に対して医師が処方する薬は同じであるため問題ないが、コロナ前であればこのようなことは起きなかったため、紛らわしいことこのうえない。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら