個性を重視するZ世代「ユニクロ」を選ぶ真の理由 「みんなが持っている」が買う理由ではない?

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Z世代は「自分らしさ」や「個性」を大事に考えている人が多い。ただ、生き方としてそれを体現できる人は少なく、だけどボンヤリと「ほかの人とは別でいたい」と考えています。

そうした意識から、Z世代は何かを買うときにも人とは違うものを選ぶ傾向があります。例えば服を買うときに、周りの人たちが赤色を持っているから、自分は青を選ぶ。誰かが同じものを持っているということが、「買わない理由」になるわけです。

これには、「シェア」が当たり前になったことも影響しているように思います。

例えばみんなでカフェに行って「これがおいしそう」「これもおいしそう」となれば、それぞれが別のものを頼んで、「ひと口ちょうだい」とシェアします。それに、ネット上でも商品やサービスの感想がすぐにわかります。流行っているものは試したいけれど、自分で購入しなくても、どんなものかを知ることはできるわけです。

こうした意識から、「みんなが買っている」ということが、自分の買う理由ではなくなりました。しかし実際問題、自分しか買っていないものなんてありません。だからたくさんあるものの中で、自分にとっての「買う理由」を見つけようとします。「人が買っているから」ではなくて、「○○だからこれを買うんだ」という意味付けです。

Z世代が「ユニクロ」を着る理由

自分にとっての「買う理由」を言語化できている人もいます。例えば、Z世代はSDGsに対する意識の高い人が多い傾向があります。そうした人たちは、「地球環境のために」「サスティナブルなものを」という理由で商品を選びます。

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ただ、そこまで「買う理由」を明確にできていない人のほうが多い。なんとなく「人と同じは嫌だ」と思っているけれど、はっきりした基準がない。

だから「あなたに合わせた色です」「あなたの生活に合わせて」といったパーソナルマーケティングが流行っているのだと思います。

ある人にこの話をしたときに「Z世代は個性が大事と言いながら、みんなユニクロを着てるよね」と言われました。また、Z世代はSDGsの意識が強いけれど、全体を見たときにあまり消費行動につながっていないということもいわれます。

これがなぜかを考えると、単純にZ世代はお金を持っていないからです。個性を大事にしたいけれど、安さも大事。Z世代の年齢が上がっていけば、「人とは違うものを選ぶ」という意識が消費行動の主軸になっていくはずです。

今瀧 健登 僕と私と株式会社CEO、一般社団法人Z世代代表、Z世代の企画屋

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いまたき けんと / Kento Imataki

1997年生まれ、大阪府出身。横浜国立大学在学中に起業。花屋のコンサルティングやグラフィックデザインを担う。2020年、大学卒業後に教育コンサルティング会社に就職。同年に「僕と私と株式会社」を設立し、Z世代向けのマーケティング・企画UXを専門に事業を展開する。プロデュースしたマッチングアプリ「タップル」の公式TikTokアカウントでは、開設1年でフォロワー約35万人、総再生回数は2億回を突破している(2023年3月末現在)。
「NewsPicks」 U-30プロピッカー、「日経クロストレンド」での連載のほか、Z世代の代表として多数のメディアに出演。

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