「どうしても100歳まで生きたい」人に説いた言葉 人生の悩みに向き合うための道しるべとなる「寓話」

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高齢者を健康かどうか、幸福かどうかという2つの視点で4つに分類してみよう。そうすると、「健康で幸福な人」「健康だけど不幸な人」「不健康だけど幸福な人」「不健康で不幸な人」に分けられる。健康のために人生があるわけではない。人生のために健康があるのだ。健康はそれ自体が目的ではなく、良い人生、楽しい人生を送るための条件なのだ。

歳を重ねるにつれ、時間が過ぎるのが速くなった──これは誰もが感じることだろう。本当にあっという間に1年が過ぎ、2年が過ぎ、3年が過ぎていくことに愕然とするときがある。

思い返してみると、子ども時代は初めて体験することばかりで、新しい出会いや発見が毎日のようにあった。もう少し大きくなって大学に入って間もない頃、就職して間もない頃は、新しい環境に飛びこんでいく中で新鮮な経験が次々と待ち構えていた。

しかし、環境が変わって1年くらいが過ぎると様子もだんだんわかってきて、気持ちが落ち着いてくると同時に、生活がマンネリ化してくる。そうなると、次第に時間の流れが速くなっていったように思う。

要するに、大人になると時間があっという間に過ぎ去ると感じるのは、日々の生活に新鮮味がなくなるからだろう。体感時間の長さは、思い出すことができる記憶の量に比例しているのかもしれない。

では、少しでも時間の流れを遅くするためにはどうしたらいいのか。努めて、新しいことにチャレンジすることだろう。人は未経験の何かにトライしているときは、強い感情が湧き上がっており、それが意識に強く残り、時間が長く感じるようだ。

若い頃できていたことができなくなったが…

■ルービンシュタインの逸話

アルトゥール・ルービンシュタイン(1887~1982年)は、ポーランド出身のピアニストである。
卓越した技術もさることながら、レパートリーの広さでも抜きん出ており、リサイタルではさまざまな曲を弾きこなすことで知られていた。
そんな彼も高齢になるにつれて、若いときと同じレベルで演奏することが難しくなっていった。そこで彼はある戦略を実行した。
まずコンサートで演奏する曲を厳選することにした。曲を絞り込むことによって、若いときよりも1つの曲に時間をかけて繰り返し練習できるようになった。
さらに、彼は若い頃にはしていなかった手法を取り入れることにした。速い手の動きが求められる部分の前の演奏をこれまでよりも遅くすることで演奏にコントラストを生みだし、速い部分をより印象づける手法である。
ルービンシュタインは、80歳を過ぎても素晴らしい演奏活動を続けたことで知られ、89歳まで現役で活躍した。
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