「すぐ辞めてしまう」新卒社員が抱える2つの背景 活躍する人に共通するキャリア設計術とは

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「学生時代はバラ色、社会人は灰色だと思っていて、不安でした」。以前、東京大学でキャリアデザインの授業を行った際のアンケートに書いてあった言葉です。この学生だけではなく、異口同音に社会に出る不安が学生たちから寄せられたアンケートにはつづられていました。

日本を代表するような名門大学でも、自身の社会人人生に明るい希望を持っている学生の割合がけっして高くはない。大学での授業を通して、キャリア教育の重要性を確信すると同時に、学生が社会に出る準備をできる機会をもっと広く用意しなければいけないと感じています。

働くことの素晴らしさを次世代に伝えよう

現在、私たちは、先端的なAIスタートアップやベンチャーキャピタル、ESG投資ファンド、国際的な活動を行うNPOなどの皆様に協力頂き、長期インターン情報を提供しています。まだ活動規模は小さいですが、学生からの反応は非常に良く、国内だけでなく、海外の大学に在籍する日本人留学生からも問い合わせが寄せられています。

学生の間では、長期インターンの有用性が徐々に認知されてきました。しかし、長期インターンを提供している企業はまだ限られているのが現状です。確かに、受け入れる際には、育成のために時間とリソースを割かなければなりません。しかし、採用難の現代において、優秀な学生と接点を持つことは、企業にとってもそれに見合ったメリットがあるのではないでしょうか。

学生個人の未来のためだけでなく、日本社会のためにも大きな可能性を秘めた長期インターンが、もっと一般的になるよう願っています。

渡辺 秀和 コンコードエグゼクティブグループ CEO

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わたなべ ひでかず / Hidekazu Watanabe

コンコードエグゼクティブグループ CEO。一橋大学商学部卒業。株式会社三和総合研究所(現:三菱UFJリサーチ&コンサルティング)を経て、2008年、株式会社コンコードエグゼクティブグループを設立。「コンサル&ポストコンサル転職」を運営する。1000人を越えるビジネスリーダーのキャリアを支援し、日本ヘッドハンター大賞初代MVPを受賞。
東京大学でキャリアデザインの正規科目「未来をつくるキャリアの授業」を立ち上げ、コースディレクターとして授業の設計と講義を担当。著書『未来をつくるキャリアの授業』(日経新聞出版社)や『コンサル業界大研究』(産学社)など。

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