石田:セキュリティーが強すぎるのも問題ですよね。政策面での要望はありますか。
D:教育にもっとお金を割いてほしいです。例えばうちの地域は今年、教員用のデジタル教科書は使えますが、子ども用のデジタル教科書が入っていません。実は、一昨年は子ども用のデジタル教科書も全学年使うことができ、「すごい使いやすいな」と思っていたのに、翌年は予算の都合で高学年しか使うことができなくなりました。さらに今年は、子ども用のデジタル教科書は一切使えなくなったのです。
石田:そこは行政に任せず、国がちゃんとお金を全部出して普及させるべきですよね。
D:はい。研究の名目で「無料なので使ってみてください」と便利なツールを渡されても、単年度の研究だったりすると翌年度は使えなくなってしまう。もっと使いたいと思っても、継続性がなくては教育に生かせません。
「特別支援教育」や「不登校」も教員の負担増に関係
石田:Eさんは、小学校1年生の担任をしながら特別支援教育コーディネーターも担当しているそうですが、どのような課題を感じていますか。
教員歴28年。公立小学校教諭。3人の子どもは成人し、現在は小学1年生の学級担任。
E:やはり特別支援教育や不登校の問題を解決していかないと、子どもに適切な支援が届かないだけでなく、教員の仕事は楽にならないのではないかと思います。
石田:具体的にはどうすればよいと思いますか。
E:インクルーシブ教育に反する部分はあるのですが、予算をちゃんとつけて固定の情緒学級をもっと小学校につくらなければいけないと思います。情緒に特性がある子というのは、その子本人のせいではないのですが、学級を荒らしてしまうんですね。着席学習が難しい子や一斉指導が難しい子はどの学級にもいて、固定の情緒級が少ない地域の教員は学級経営がとても大変になっています。しかも、その子たちを特別支援につなげようと思っても、そのための書類の量が膨大で、みんな放課後や土日に書類を作成しています。
本来なら、通常学級の人数も低学年であれば、1学級につき20人くらいにすべきです。このままの仕組みでは、学級どころか学校が崩壊しますよ。
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