東大推薦合格者から学ぶ「頭のいい人」の思考法 大学側は学生たちの「頭のよさ」をどう判断?

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桜木先生が、「物事を広い視野で捉えること」について触れていましたね。

この、「宇宙から物事を見るように広い視野を持つこと」は、実は推薦入試でも求められるものなのです。

例えば、法学部の推薦入試の問題では過去にこんな問題が出ていました。

「各種イベントのチケットの転売規制について、あなたは、どのように考えますか。『チケットの転売』を規制することには、誰にとって、どのような意味をもつのか、また、それにはどのような限界や問題点があるかについて、議論してください」

これは非常に意義深い問題です。チケットの転売という、一見すると簡単なテーマを選んでいますが、その内容として「誰にとって、どのような意味を持つのか」と書いています。お客さんの立場から「規制を加えたほうがいいと思う」というだけではいけない問題なのです。

いろんな立場に立って考える

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例えば興行主にとってはチケットの転売はプラスだと言えるのか、マイナスな面があるとしたらどんなポイントなのか、国として転売を規制することにはどんな意味があるのか、やむをえない事情でその日コンサートに行けなくなった人にとってはどんな意味があるのか、何としてでもコンサートに行きたい人にとってはどんな意味があるのか、そういう「広くいろんな立場に立って物事を考えること」が求められているわけです。

この問題以外にも、東大の推薦入試では、「いろんな立場に立って考えること」が求められることが多いです。

面接でも「あなたの意見に対して、この立場の人はどう考えると思いますか?」と質問したり、小論文のテーマでもこの問題と同じように複数の立場に立って考えることを求められます。

「いろんな視点・立場に立って物事を考える」というのは、「広い視野を持っている」というのと同義だと思います。賛成の立場からも反対の立場からも物事を捉え、複数の目線で物事を見ることができるということは、視野が広く、思慮が深いことを示しています。

独りよがりでなく、複数の目線に立って物事をとらえるというのは、確かに「頭のいい人」の特徴だと言えるのです。

自分の意見を考えるときにも、「こう考える人もいるかもしれないけれど、それでも自分はこう思う」と譲歩するような言い方をしていると、意見に説得力が出ますよね。

このように、「広い視野」を持てるよう努力することは重要なことだと言えるのではないでしょうか。

読者のみなさんもぜひ、いろんな立場に立って物事を考える癖をつけてみてください。

西岡 壱誠 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当

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にしおか いっせい / Issei Nishioka

1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「独学術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。

そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている。また、YouTubeチャンネル「スマホ学園」を運営、約1万人の登録者に勉強の楽しさを伝えている。

著書『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大独学』(いずれも東洋経済新報社)はシリーズ累計40万部のベストセラーになった。

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