味のクオリティ高し!「コンビニ冷食」進化の裏側 売り場拡充、独自の商品開発などで力を注ぐ

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ファミリーマートは、「コチュジャン風味のピリ辛肉味噌ビビンバ」や「ラケル監修特製ソースのチキンオムライス」など、1品でお腹を満たせる一食完結型トレイ商品が多いことが特徴です。

お腹満たし系のファミリーマート冷凍食品(写真:編集部撮影)

暑くなるこれからの季節なら、スムージーがイチ押し。セブン‐イレブンはカットした冷凍野菜や冷凍フルーツで店内でスムージーが作れる商品を販売しています。野菜やフルーツが入ったカップを購入して専用の機械にセットすれば、70秒ほどでヘルシーなスムージーが作れます。

各社とも冷凍カットフルーツはスーパーよりも種類が豊富で、ほとんどが使い切りサイズ。そのまま食べるだけでなく、ヨーグルトや炭酸水、ワインなどのお酒に入れるのも夏らしい楽しみ方です。

コンビニ各社の冷凍カットフルーツ(写真:編集部撮影)

冷凍食品がコンビニエンスを救う?

こうしたコンビニの冷凍食品は、別の視点からしても興味深いところがあります。

近年、コンビニ商品の食品ロスが社会的な問題になっています。これを減らす解決策の1つとして考えられるのが、日持ちもしてストックしておける冷凍食品の取り扱いです。

実際、食品ロス削減に向けて積極的に取り組んでいるローソンは、昨年11月、食品ロス削減やプラスチック削減などの環境負荷軽減などを実現した未来型の店舗「グリーンローソン」を東京都豊島区にオープンしました。通常の店舗で扱っているチルド弁当や常温弁当の販売は行わず、「冷凍弁当」とオーダーを受けてから店内厨房で作る弁当のみを販売するなど、食品ロス削減に向けた検証を行っています。

このようなコンビニ店内でのチルドではない冷凍品比率の高まりが、食品ロス削減に有効と考えられるため、今後に注目です。

コンビニで数多く並ぶ「おにぎり」も、賞味期限切れによる食品ロスの問題があります。実はコンビニのおにぎりはお米が少量の油でコーティングされていて、さらにフィルムで包装されているので乾燥しづらく、冷凍向きといえます。

そのほかの課題としては、コンビニ冷凍食品と従来あるチルド商品との店内競合は、コンビニ特有の課題といえるかもしれません。ラーメンやパスタなど、限られた店内に同じ調理品が置かれるケースも多く、棲み分けが必要になっています。

少量で買いやすく、バリエーションが豊富で調理も簡単なコンビニの冷凍食品は、店舗やフランチャイズであれば、オーナーによって商品の取り扱いが異なります。ぜひコンビニに行ったときには冷凍食品コーナーにも立ち寄ってほしいです。新しい発見があるかもしれません。

(構成・牧野めぐみ)

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西川 剛史 冷凍生活アドバイザー

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にしかわ たかし / Takashi Nishikawa

ベフロティ株式会社代表取締役。高校生のころから冷凍食品に興味を持ち、冷凍食品会社に就職。冷凍食品の商品開発などの経験を生かし、現在は冷凍専門家として活動。冷凍王子としてテレビ番組「マツコの知らない世界」「ヒルナンデス!」など、その他テレビ、雑誌などに多数出演。
年間約1000品の冷凍食品を試食し、累計1万品以上の冷凍食品を実食した経験と商品開発の経験から、冷凍食品開発コンサルタントとしても活動。
著書は「いますぐ食べたい!冷凍食品の本」(自由国民社)、「冷凍王子の冷凍大全」(サンマーク出版)。Youtube「冷凍チャンネル」を開設。
さらに冷凍の資格講座として「冷凍生活アドバイザー養成講座」を開講。

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