"テスラ越え"目指すTuringの1台目開発の舞台裏 「自分たちならできる」実感はなぜ大事なのか
青木:Turingはエンジニアリングの会社なので、ものづくりに真正面から取り組んでいきたい。そして日本のエンジニアが憧れる会社になりたいと思っています。
私が大学生だった10年ほど前、日本の学生たちはGAFAに憧れていました。当時は日本人が米国のGoogleに入社したことがニュースになるくらいだったので、私も「Googleは世界のトップ人材が集まるすごい会社なんだ」と信じていたんです。
ところが実際に米国に渡ってみて、意外な事実を知りました。私は当時カーネギーメロン大学で自動運転の研究をしていたのですが、周りの優秀な学生や研究者でGoogleやAmazonにジョインする人はほとんどいなかった。
「日本は負けてるな」と思った
トップ人材と呼ばれる人たちは、仲間とスタートアップを起業したり、新興企業にCxOとして参画したりと、新しいことにチャレンジする道を選んでいたんです。
それを知って「日本は負けてるな」と思ったんですよね。海外の人たちは次々と新しい挑戦をしているのに、日本人はGoogleに入れてもらって喜んでいるなんて、すごく悔しいじゃないですか。
だから自分は日本発のスタートアップを立ち上げて、社会的に大きなインパクトを出せることに挑戦し、日本の学生や技術者が憧れるような会社をつくろう。その思いがずっと自分の根底にあります。
今は完全自動運転車の開発に取り組んでいますが、それを達成した後にまた新たに取り組むべき社会課題が出てきたら、違うテーマにトライする可能性も十分あります。
常に大きな夢を掲げて全力で追いかける。Turingはそんな組織であり続けたいと思っています。
取材・文/塚田有香 撮影/桑原美樹 編集/玉城智子(編集部)