(2)保険などの各種契約の審査で不利になる、保険金の受取人に指定できない。
(3)パートナーが外国人の場合、在留資格を得ることができない
(4)子どもを産んでもパートナーが親権者になれない
(5)医療を受けるとき、パートナーは治療方針や手術に関して説明を受けたり、同意したりができないことがある
(6)銀行で住宅ローンを組むことができないことがある
(7)職場で家族手当、慶弔休暇、介護休暇などが受けられないことがある
本稿で「同性婚」と書かず、「法律上の性別が同じカップル」と記述するのは、原告団の中には同性愛カップルだけでなく、トランスジェンダー(transgender:出生時に割り当てられた性別と性自認が異なる人*1)の異性愛カップルもいるだからだ。その場合、戸籍上の性は同性同士になるため、婚姻が認められない。
こうした恋愛や性的な指向は精神疾患でも障害でもなく、また、本人の意思や努力で変えることもできない。
近年、全国でこのようなカップルのために自治体が「パートナーシップ制度」を制定・施行するところが増え、現在、少なくとも323になった(*2)。だが、それは社会的な認知を高めても、法的な効力がないため、前述の困りごとが解消されるとは限らない。
さらに、当事者は、恋愛や結婚に関するさまざまなできごとを語るとき、法的に認められないために社会から受容されず差別を受けたり、大きな不安を感じたりしながら生きている。原告のメンバーは「制度は人々の意識を変えていくと信じて」、裁判で闘っているという。
クローゼットを選んだケイさん
東京第二次訴訟原告団8人のうちの1人、会社員のケイさん(50代)から、「法律上同性同士の婚姻が認められていない(法律上で差別されていること)」「法律上同性同士のカップルには結婚という選択肢がない」ため、どれだけ人生で悩み苦しんできたかを話してもらった。
ケイさんは性自認(自分の性別の認識)が女性で、性的指向はパンセクシャル(pansexual:性的指向が性別にとらわれない人*1)」だ。裁判での意見陳述をもとに、独自インタビューした内容を加える。
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