そんな「インクルーシブな社会」とはどんな社会でしょうか。医療ジャーナリストで介護福祉士の福原麻希さんが、さまざまな取り組みを行っている人や組織、企業を取材し、その糸口を探っていきます。【連載第14回】
近年、高校における学び方が多様化している。
(1)いつ、どこで学ぶか(全日制は昼間学校で、多部制・三部制は午前、午後、夜間に4時間学校で、通信制は自宅のインターネット利用でなど)(2)どんな進路を選ぶか(大学へ進学するための普通科、農業、園芸、電子・電気機械、看護などの職業専門教育を受ける専門学科、普通科と専門学科の両方を学べる総合学科)(3)何年で卒業するか(学年制、単位制)の、3点の組み合わせから進学先を選ぶ。
障害のある生徒は、公立高校(*1)、あるいは特別支援学校(養護学校の名称が残る学校もある)の高等部を選ぶことになる。「公立高校で障害のない生徒と学習したり、大勢の中で学校生活を送ったりしたい」「特別支援学校で就労に向けた準備をしていきたい」などの観点で学校を選ぶという。
商業高校に通ったダウン症の少年
今回は「知的障害のある生徒が公立高校で学ぶ様子」を紹介する。
一昨年、東京都立商業高校を卒業した五十嵐健心(けんしん)さん(19)は、ダウン症で中度の知的障害がある。同じ地域の同年代の友達と学校生活を送りたいと、特別支援学校でなく、地域の小中学校で学んだ。小中学校で女子生徒から人気のあった健心さんは、高校も共学で昼間の通学しやすい学校を選んだ。
入学後、授業で特別な学習支援はなかったが、健心さんはパソコン部で使い方を学び、よく教科書を模写した。学校での発言は少なかったが、同級生が教師の真似をして大笑いするようなワイワイした雰囲気がとても楽しかったという。高校でも女子生徒から「ガッシー」とニックネームで呼ばれ、よく雑談した。
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