山手線に新型車両が導入される本当の理由 JR東日本の「世代交代戦略」は成功するか

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つまり、電車が走行する際のエネルギー消費量を削減することさえできれば、省エネ・省資源効果は非常に大きいのだ。209系は103系と比べ、約半分のエネルギーで走ることができる。

209系の約10年後に設計されたE231系500番代、さらにその10数年後に設計されたE235系では、さらなるエネルギー消費量の削減が達成されている。「古い電車を使い続ける方が、もったいない」のである。

もう、おわかりだろう。

10年も経てば技術の進歩により、さらに省エネ化が進んだ電車が登場するに違いない。インターネットや携帯電話の急速な普及のような、社会情勢の大きな変化も当然、予想しうる。

ならば、古い電車は早めに新車に取り換えることを考えた方がコスト面でも環境面でも有利で、時代の変化への対応、および利用客へのアピールともなる。

技術革新を織り込んだJR東の新車戦略

また、現在の電車に多用されている半導体素子は、もともと10年あまりしか寿命がなく、交換が必要になる。そこで税法上の耐用年数の13年(従来の約半分)をひとつのメドとし、仮にその時点で転用先がなく廃車せざるを得なくなっても、経済的な損失がない設計をすればよい。

これが、JR東日本が唱えた「寿命半分」の真意であり、その方針に沿って、車両の物理的な寿命よりも短いサイクルで新型車両が山手線へ投入され続けられるのである。

E235系ももちろん、同社の長期的な経営戦略に沿って設計されたものだ。山手線からは今後、E231系500番代が捻出、転用され、他線区の古い車両を淘汰。全社的に、さらなる省エネ化が進められることになる。

5年後、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの時には、E235系が山手線の輸送を一手に担っているだろう。だが、10年先はわからない。

土屋 武之 鉄道ジャーナリスト

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つちや たけゆき / Takeyuki Tsuchiya

1965年生まれ。『鉄道ジャーナル』のルポを毎号担当。震災被害を受けた鉄道の取材も精力的に行う。著書に『鉄道の未来予想図』『きっぷのルール ハンドブック』など。

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