山手線に新型車両が導入される本当の理由 JR東日本の「世代交代戦略」は成功するか
JR各社発足の初年度となった1987年度末の時点において、JR東日本が所有している在来線用電車は、特急用、東北地区用も含めて9637両あった。
2013年度末には、これが1万0926両に増えている。同じ1987年度末の時点で、JR以外の民鉄で電車を最も多く所有していたのは営団地下鉄(当時)の2195両であったから、段違いに多い。
もし電車の使用年数を30年と見積もれば、単純計算でもJR東日本は毎年300両以上もの電車を新車に取り換えなければならない。
実際には、急増する利用客に対応するため昭和30~40年代に国鉄が大量かつ同時期に新製した電車を抱えており、これらの代替として数多くの新車が必要となることは、誰の目にも明白であった。
最新型電車を製造するには、1両あたり1億数千万~2億円はかかると言われる。毎年数百億円の投資が必須で、これを滞りなく効率的に行うことこそ、経営上の最重要課題と言っても過言ではない。
「使い捨て電車」というマスコミの無理解
そこで新製から廃車までの電車のライフサイクルを徹底的に検討し直して打ち出された、今後新製する電車についての設計方針が「コスト半分、重量半分、寿命半分」だった。
このコンセプトに沿って1993年から量産、京浜東北線に投入されたのが209系電車。E231系も209系の発展形であり、同様の思想に基づいて設計されている。
「コスト半分」とは、実用本位のデザインにして製造コストを下げ、VVVFインバータ制御、電力回生ブレーキなどを採用して省エネ化も推進。
部品レベルからのメンテナンスフリー化を徹底することによって、検査・修繕の手法やサイクルも根本的に見直し、検査工場の設備や体制も新設計の電車に合わせて改修して、ランニングコストも下げるという方針である。
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