山手線に新型車両が導入される本当の理由 JR東日本の「世代交代戦略」は成功するか

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「重量半分」とは、言うまでもなく軽量化の徹底。車体のみならず、各個の機器の高性能化を受けて、装備数の削減が図られた。もちろん軽量化が進めば走行に必要なエネルギーも減り、コスト削減にもつながる。

問題は「寿命半分」であった。この言葉尻だけをとらえて、マスコミや一部の評論家が、209系を「使い捨て電車」と評したのは無理解のひと言に尽きた。

エアコンや冷蔵庫など消費電力が大きな家電製品が故障した時、「修理するより新品を買った方が得ですよ」と言われた経験はないだろうか。

新品を売って儲けようという下心がないわけではなかろう。だが、こうした家電製品は年々の技術改良が著しい。新しい製品は数年前のものより消費電力が格段に少なくなっていて、電気料金が安くつき、総支出が抑えられる状況が生じているからこその言葉でもある。

これは、電車においてもまったく同じだ。

JR東日本の経営方針を、その設計に体現した209系。現在は京浜東北線からは撤退し、房総方面へ転用されている

ひとつ、興味深い研究結果をご紹介しよう。「209系電車の環境影響の定量的評価」(一般社団法人日本鉄道車両機械技術協会協会誌「R&m」2003年8月号掲載/JR東日本研究開発センターテクニカルセンター鎗水信治・引間英男著)というレポートよりの引用である。

古い車両を使うのはコストの浪費

このレポートでは、209系をモデルとして製造、運用(走行)、メンテナンス、廃車解体・廃棄と流れる電車のライフサイクルにおいて、消費される資源、エネルギーにより、どのような環境負荷がかかるかが解析、研究されている。

それによると、エネルギー消費量においても、CO2排出量においても、走行の際の負荷量(=消費される電気エネルギー量)が圧倒的に多く、これを1とすると、次に多い原材料製造の際(たとえば鉄を製造する時のエネルギーなど)でも0.1以下。廃棄の際に至っては、微々たるエネルギー・資源しか消費しない。素材は今や、徹底的なリサイクルも可能である。

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