ワーナーが「ハリポタ体験施設」に懸けた拡大戦略 「コアなファン」創出し収益拡大の切り札なるか
以前だと、映画はできる限り多くの人に向けてやっていた。でも今、アニメがうまくいっているのはコアなファンがついているから。彼らが見てくれて、(SNS等で)発信もしてくれる。
例えば興行収入100億円を達成するには1000万人に来てもらう必要があるが、今は最初から1000万人を目指すよりは、50万人や100万人の熱いファンを元にして、口コミで盛り上げていくようになった。
その意味ではファンベースを作ることが大事。ファンは映画以外の場所でも作品の世界を体験し、より深く作品を好きになる傾向がある。
スタジオツアーが切り札であるのも、そうした「体験」を生み出すからだ。映画がどう作られてきたのかを見れば、ワクワクして、グッズも買いたいと思うはず。単に街のお店でグッズが売っていても買わないが、スタジオツアーを1周まわった後なら買いたくなる。それが体験によってもたらされる効果だ。
ディズニーから転籍して強化したこと
――ディズニーと同じく、ワーナーは今年創立100周年を迎えました。エンタメ業界における、自社の現在の立ち位置をどう見ていますか。
ディズニー映画の場合、”ディズニーだから”見る人がいる。一方で”ワーナーだから”という理由で映画を見る人はなかなかいない。ワーナーのマークがあるとワクワクするな、と思ってほしい。
「物語を伝える」という会社のDNAは今後も変わらない。IPの価値を最大化することも大事だが、われわれの根本はコンテンツ屋。どれだけすごいコンテンツを作れるかに懸かっている。
――ワーナーの強みは何なのでしょうか?
コンテンツ(作品作り)に特化しているということ。ただそこに特化しすぎると、ファンが作れずフランチャイズビジネス(グッズ等の周辺ビジネス)の展開ができない。だから僕がディズニーから入ってきて以降、フランチャイズビジネスを大きくしてきた。
映画は当たり外れが大きい。そんな中でフランチャイズビジネスを伸ばしていけば、経営的にも楽になる。もともとワーナーにはそうした考えがあまりなかったが、自分がディズニーから持ち込んでやっている。「良いストーリーを作る」ことと、「360度でビジネスを展開する」こと、これらを両輪でやっていくことが重要だ。
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