ワーナーが「ハリポタ体験施設」に懸けた拡大戦略 「コアなファン」創出し収益拡大の切り札なるか

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以前だと、映画はできる限り多くの人に向けてやっていた。でも今、アニメがうまくいっているのはコアなファンがついているから。彼らが見てくれて、(SNS等で)発信もしてくれる。

ワーナー・ブラザース・ジャパンの高橋雅美社長兼日本代表
高橋雅美(たかはし・まさみ)/1959年生まれ。広告会社、コカ・コーラを経て、2004年にディズニー入社。「アナと雪の女王」等のアニメーションビジネスを手がけた。2015年にワーナー・ブラザース・ジャパンに参加、2016年から現職(撮影:今井康一)

例えば興行収入100億円を達成するには1000万人に来てもらう必要があるが、今は最初から1000万人を目指すよりは、50万人や100万人の熱いファンを元にして、口コミで盛り上げていくようになった。

その意味ではファンベースを作ることが大事。ファンは映画以外の場所でも作品の世界を体験し、より深く作品を好きになる傾向がある。

スタジオツアーが切り札であるのも、そうした「体験」を生み出すからだ。映画がどう作られてきたのかを見れば、ワクワクして、グッズも買いたいと思うはず。単に街のお店でグッズが売っていても買わないが、スタジオツアーを1周まわった後なら買いたくなる。それが体験によってもたらされる効果だ。

ディズニーから転籍して強化したこと

――ディズニーと同じく、ワーナーは今年創立100周年を迎えました。エンタメ業界における、自社の現在の立ち位置をどう見ていますか。

ディズニー映画の場合、”ディズニーだから”見る人がいる。一方で”ワーナーだから”という理由で映画を見る人はなかなかいない。ワーナーのマークがあるとワクワクするな、と思ってほしい。

「物語を伝える」という会社のDNAは今後も変わらない。IPの価値を最大化することも大事だが、われわれの根本はコンテンツ屋。どれだけすごいコンテンツを作れるかに懸かっている。

――ワーナーの強みは何なのでしょうか?

コンテンツ(作品作り)に特化しているということ。ただそこに特化しすぎると、ファンが作れずフランチャイズビジネス(グッズ等の周辺ビジネス)の展開ができない。だから僕がディズニーから入ってきて以降、フランチャイズビジネスを大きくしてきた。

映画は当たり外れが大きい。そんな中でフランチャイズビジネスを伸ばしていけば、経営的にも楽になる。もともとワーナーにはそうした考えがあまりなかったが、自分がディズニーから持ち込んでやっている。「良いストーリーを作る」ことと、「360度でビジネスを展開する」こと、これらを両輪でやっていくことが重要だ。

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