部下に任せた仕事に、上司が介入すべき3つの局面 部下にどこまで任せてどこから口を出すべきか

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介入すべき3つ目は、組織としての重要なリスクが増大しているときです。

何が重要なリスクかは仕事やチームによって違いますが、ひと言で言えば、チームの成果の最大化に甚大な悪影響を与えるものです。

たとえば、対顧客サービスを担っているチームであれば、顧客との信頼関係が重要なリスクです。それがぐらつき始めているにもかかわらず、本人が気づいていなかったり、気づいていても、プライドが邪魔をしてそこから目をそらしている場合があります。

この状態を放置すると事態が悪化して取り返しがつかなくなるため、やはり、そうなる前に注意を喚起すべきです。上司は自分のチームの重要なリスクが何かを常にメンバーと共有しておき、その点に関してよく注視しておく必要があります。

違和感を覚えたら、やはり自分の懸念を理由とともに伝えて本人の考えを聞き、解決策や自分がサポートできることが何かを一緒に考えましょう。いま、何を優先すべきかを明確にしたり、ボトルネックになっている箇所を特定したりするだけでも事態が好転することがあります。

以上のどの局面でも、明らかになった問題をどう改善すべきかは、ぜひ本人に考えてもらいます。特に、いまの能力よりも高いレベルの仕事に挑戦している場合は、可能な限り、自分で考えてやってみることが成長への経験になるからです。

上司の役割は部下が自走できるまでの補助輪

子どもが自転車に乗れるようになるまでには、補助輪付きでペダルを漕ぎながら、「自転車に乗る」ということがどういうことなのかを、実際に体感する過程が必要です。その後、補助輪を1つ外し、2つ外しして、次第に自走できるようになっていくのです。

上司の役割は、最終的に部下が自走できるようになるための補助輪です。いきなり補助輪なしで公道を走らせようとするからトラブルが起きて、「やっぱり任せられない」となってしまうのです。

上司のサポートを受けながらも、自分で考えた方法でやり遂げて結果を出すという経験を通じて、課題認識力、判断力、行動力が強化されてくると、徐々に上司の手がかからなくなります。これすなわち部下の成長に他なりません。

部下が自分の成長や達成への喜びを実感してくると、上司はさらに広範囲、高レベルの仕事を任せることに挑戦できる――このような好循環が生まれてくるのです。

櫻田 毅 人材活性ビジネスコーチ

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さくらだ たけし / Takeshi Sakurada

アークス&コーチング代表。九州大学大学院工学研究科修了後、三井造船で深海調査船の開発に従事。日興證券(当時)での投資開発課長、投資技術研究室長などを経て、米系資産運用会社ラッセル・インベストメントで資産運用コンサルティング部長。その後、執行役COO(最高執行責任者)として米国人CEO(最高経営責任者)と共に経営に携わる。2010年に独立後、研修や講演などを通じて年間約1500人のビジネスパーソンの成長支援に関わる。近著に『管理職1年目の教科書』(東洋経済新報社)がある。

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