日台メディア連合がナスダック上場を目指すワケ メディアジーンを率いる今田素子CEOに直撃

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――であれば単独で上場をしたほうがよい、との声もあった?

ほとんどの人からアメリカでの上場は「うまくいくはずがない」「リスクが大きすぎる」と反対された。でも私の考えでは、日本で上場をすることも同じようにリスクが大きい。

ここ8年ほど、メディアジーンでは新卒採用に力を入れており、昨年は8人、今年は14人採用した。最近は比較的定着率も高く、みな本当に優秀。こうしたプロパー社員の活躍を見るにつけ、大きく活躍できるステージを用意することが自分の使命だと感じていた。今回のスキームによって成長のイメージを示すことができたと思う。

上場はゴールではない

――合併によって社員を減らす、もしくは媒体数を統合する、などの計画はありますか。

両者合わせて約550人の社員がいるのだが、人を減らすこともメディアを減らすことも考えていない。例えばTNLには「愛料理」というレシピサイトがあるので、メディアジーンでも日本向けにレシピサイトを展開するというようなこともあるかもしれない。日本と台湾を結ぶ新しいメディアを立ち上げるアイデアもある。

TNLとメディアジーンの持つメディアブランド群(出所:プレスリリースより)

ナスダックへの上場はゴールではない。そこから発展をするためのスタートラインだと考えているので、M&Aによる成長も積極的に進めていきたい。

日本のベンチャー企業の上場ストーリーを見ると、上場がゴールになってスケールに苦心する例もあり、必ずしも若い人たちに大きな希望を与えているとはいえない。とくに女性起業家が大きな資金を得て発展を遂げている例が少ない。日本において女性起業家にお金が回っていない状況にも課題感を持っている。若い経営者、とくに女性経営者にさまざまな選択肢があるということを示し、勇気を与えることができれば本望だ。

――1998年の起業から今までを振り返って、今をどのように評価していますか。

私はこれまでずっと、メディアのことを人々、とくに若い人たちに大きな影響を与える存在だと思ってきた。そして、よいメディアは、人々の生活を豊かにできる存在だと信じている。そのためにも、コンテンツをつくるパブリッシャーのみなさんがしっかりと利益を上げて成長していく仕組みを作りたい、と思い続けてきた。

でも、ここまでにやれたことはわずか。アメリカのブランドのライセンシーとして運営していくスタイルで一定の役割は果たせたと思うが、世界へ打って出るためにはどうしたらいいか、ということをずっと考え続けてきた。今回、そのための道がようやく開けたという気持ち。本当にワクワクしている。

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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