日野と三菱ふそうが経営統合へ向かう2つの要因 親会社のトヨタとダイムラーがCASE技術で協業

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5月30日、東京都港区のホテルで開かれた記者会見。4社トップが顔をそろえた(撮影:尾形文繁)
日独自動車大手の協業、かつ商用車の国内2位と3位の経営統合という自動車業界で久しくなかった大型再編計画が動き出した。関係者を駆り立てたのは、カーボンニュートラルへの対応と不正問題からの立て直しである。

「商用車の未来をともにつくる」、トヨタ自動車の佐藤恒治社長が力強く宣言すれば、ダイムラートラックのマーティン・ダウムCEOは「ゼロエミッションの輸送への変革を加速するために、今日の協業は4社すべてにメリットをもたらす」と胸を張り、続いた三菱ふそうトラック・バスのカール・デッペン社長が「アジア地域の輸送セクターをリードする存在になる」と明るい将来を描いてみせた。

4人目の日野自動車の小木曽聡社長は神妙な表情で語り始めた。「昨年公表した認証不正問題を重く受け止め、二度とこのようなことが起こさない会社に変わるべく、昨年10月に公表した3つの改革を推進しております」。「これからのカーボンニュートラルなどの環境変化への対応を実現するには、日野単独では非常に厳しい」、晴れがましい発表の場に似つかわしくない危機感を前面に打ち出したあいさつだった。

経営統合で日野はトヨタの連結子会社外へ

トヨタ自動車は5月30日、世界的な商用車大手のドイツ・ダイムラートラックと電動化や自動化など「CASE」技術開発での協業とともに、それぞれの子会社である日野自動車と三菱ふそうトラック・バスの統合で基本合意したと発表した。

統合スキームは、新たに持ち株会社を設立して日野と三菱ふそうをそれぞれ完全子会社とする。持ち株会社は日本で上場し、トヨタとダイムラートラックの持ち分比率は同割合とする。2024年3月期中の最終契約締結、2024年中の統合完了を目指す。

現在、日野は東京証券取引所のプライム市場に上場しており、50.1%の株を持つトヨタの連結子会社だ。一方、三菱ふそうはダイムラートラックが89.29%、三菱グループが10.71%の株を持つ非上場会社である。(現在の商用車業界については『業界地図デジタル』の「トラック業界の業界地図」でご覧いただけます

新持ち株会社はトヨタ、ダイムラーどちらの連結子会社でもなくなる。両社の出資比率はこれから協議していくが、各32.5%未満となることは間違いない。プライム市場が前提のため「流通株式比率35%以上」という上場基準があるからだ。

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