最高益を見据えるトヨタが抱く「強烈な危機感」 グループ内で不正が続発、問われる企業統治

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2026年150万台のEV販売に向けて、2024年3月期は20万台のEV販売を見込む(撮影:尾形文繁)

トヨタ自動車で初めてとなる大台突破はなるか。

トヨタ自動車は5月13日、2024年3月期業績の営業利益が過去最高の3兆円とする計画を発表した。同じ期のトヨタ・レクサスブランドの世界生産台数は前期比10%増の1010万台、世界販売台数は同8%増の1040万台と、こちらもともに過去最高を計画する。全地域で生産・販売台数が拡大し、好採算車種も増えることで利益を押し上げると見込んでいる。

自動車業界はここ数年、半導体不足や新型コロナウイルスの感染拡大による都市封鎖などによる供給網の混乱に悩まされてきた。トヨタも昨年5月に公表した970万台の生産計画を2回も下方修正を余儀なくされた。

ただ、供給網の混乱もようやく改善の兆しが見える。宮崎洋一副社長は、「半導体の供給リスクを見える化しながら代替品の検討などに取り組んできたこと、さらに工場の稼働率向上の改善を進めてきた結果、3月以降に安全、品質を最優先にした高い水準の生産が維持できている」と今期の生産計画達成に自信を示した。

実際、この3月の世界生産台数は過去最高の90万台を記録。サプライヤーからも「生産計画の確度はかなり高まってきている」(トヨタ系部品メーカー幹部)との声が聞こえてくる。

最大市場の北米で業績悪化

計画達成のカギを握るのは北米市場と中国市場の動向だ。

北米はトヨタの販売台数で3割弱を占める最大市場である。だが、その北米事業の業績が思わしくない。2023年3月期は通期で746億円の黒字を確保したものの、前期比86%減の大幅減益となった。2022年10-12月期には営業赤字を計上している。

昨年までの北米市場は、業界全体の生産不調を受けた販売現場での需給逼迫により、販売奨励金(インセンティブ)は低水準にとどまり、中古車価格が高止まりするなど、事業環境はさほど悪くなかった。トヨタの北米での生産台数・販売台数はコロナ前より低水準だが、2022年3月期比ではプラスで、そこまで業績が悪化する理由が見当たらない。

トヨタは、部品不足などによって効率的な生産ができなかったことやインフレに起因する労務費高騰が大きく影響したことを要因として説明する。北米の立て直しについて佐藤恒治社長は「生産の回復をまずもって急ぐことと製造コストのさらなる改善が必要だ。TPS(トヨタ生産方式)を基本とした改善にしっかりと取り組みながら、ものづくりに強い工場にしていきたい」と強調する。

北米では労務費に加えて、原材料費や燃料費も高騰していることから、自動車業界では商品価格の引き上げが相次いでいる。一方、金利上昇で自動車ローンの条件は悪化。各社の自動車生産が改善することで中古車市場の下落やインセンティブ競争の再燃の可能性もある。トヨタが北米事業の立て直しに手間取れば、業績の足を引っ張る要因になりかねない。

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