EV(電気自動車)シフトが急速に進む中国市場で、日本の自動車メーカーが撤退の決断を迫られている。
三菱自動車工業は4月25日、中国の持分法適用会社での販売不振を理由として2023年3月期連結決算で、営業外費用を121億円、特別損失を105億円計上すると発表した。
2022年11月にスポーツ多目的車(SUV)・新型「アウトランダー」のガソリンエンジンモデル(マイルドハイブリッド)を中国市場に投入したが、販売計画を大幅に下回る状況が続いている。生産している湖南省・長沙工場での新車生産を3月~5月の3カ月間停止する。それらを受けて損失計上をすることになった。
ただ、三菱自にとっては単に1車種の販売不振という話にとどまりそうにない。
かつては中国市場で日系上位
「もはや中国からフェードアウトしていくだろう。今回の発表は中国市場からの撤退の第1段階になる」。ある三菱自幹部はそう明かす。
中国における三菱自の販売台数は、コロナ禍前の2019年が12万3581台で同社全体の10%を占めていたが、2022年は3万1826台とわずか4%にまで低迷している。東洋経済の取材に対し、三菱自は「中国事業からの撤退は考えていない」とコメントする。
2000年代初めには日系自動車メーカーの中でも上位を占めていたが、ここ数年は経営危機や商品競争力の低下で販売台数の減少に歯止めがかからない。社内ではすでに中国市場からの撤退についての議論が始まっているという。
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