エンジン不正の日野自動車が抱える「3つの課題」 不正発覚から1年、信頼回復への険しい道のり

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日野自動車では2022年にエンジン認証試験での不正が発覚し、複数のエンジンと搭載車型の型式指定が取り消された(記者撮影)

「特別損失は前期と今期で底打ちができると思う」。トラックメーカー大手の日野自動車の小木曽聡社長は、4月26日の決算説明会でこう述べた。

日野がエンジンの認証試験で不正行為があったと明らかにしたのは昨年3月のこと。同月末には、国土交通省から不正対象となったエンジンと当該エンジン搭載の車型の型式指定が取り消され、関連エンジンや車両の量産ができなくなった。その後、一部では型式指定を再取得、生産・出荷を再開できたものの業績への影響は甚大だった。

2023年3月期の営業利益は174億円と前期からほぼ半減。最終損益は3期連続、かつ過去最悪の1176億円の赤字となった。

不正が直撃した国内が2.2万台減(37.8%減)と大幅に台数を減らした中、好調な東南アジアと円安による利益押し上げ効果489億円で、営業段階ではなんとか黒字を確保したが、不正対象となったエンジン搭載車種のリコール費用、出荷停止によるサプライヤーへの補償、燃費の税制優遇を受けたトラック購入事業者への補償といった国内認証関連の特別損失907億円が打撃となった。

4期ぶりの最終黒字化の計画だが……

ただ、冒頭の言葉が示すように会社側は最悪期を脱したという認識だ。2024年3月期は、営業利益200億円(14.9%増)、最終損益は100億円の黒字と、4期ぶりの最終黒字化を見込んでいる。

不正影響の緩和によって国内販売台数が反転増となることでグローバルの販売台数の前提を1.4万台増の15.9万台(10%増)としていることが大きい。販売増の効果で、材料市況の悪化や諸経費増といったマイナスをカバーする計画。特別損失も大きな金額は見込んでいない。

もっとも、20年近く続けてきた不正行為の代償は大きく、順調に回復軌道を描けるか予断を許さない。少なくとも大きな課題が3つ残っている。

次ページアメリカ司法省の調査が続く
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