日野、EVで解消する宅配ドライバーの切実な悩み

2022年初夏に発売、荷台を低くし負担を軽減

従来の宅配トラック車体の高さは、1日で100回以上乗り降りするドライバーの大きな負担になっている(撮影:大澤誠)

「まだ受注前の段階だが、(4月に公開してから)お客さんからの反響は非常に大きい。宅配用トラックの新たな標準になるのではないか、といった声まで頂戴している」

日野自動車が7月末に開いた2021年度第1四半期の決算会見。同社が開発を進めるEV(電気自動車)の小型トラック「日野デュトロ Z(ズィー)EV」に関する質問に、中根健人コーポレート本部長は明るい表情を見せた。

デュトロZEVは日野が初めて世に送り出すEVトラックであり、2022年初夏の発売を予定する。国内勢としては、三菱ふそうトラック・バスが2017年に発売した中型の「eCanter(イーキャンター)」に続くEVトラックで、主に宅配現場での使用を想定している。

ドライバーに配慮した設計

最大積載量は1トンで、ヤマト運輸が宅配用として現在使用している2トン積みのエンジントラックよりもサイズは小さい。車両総重量(最大積載時の荷物込みの総重量)が3.5トンを下回るため、普通免許で運転できる。

「単にEV化するだけでなく、どんなトラックにすれば宅配現場の困りごとを解決できるかを徹底的に考えた」。2019年から開発責任者としてデュトロZEVのプロジェクトに携わってきた東野和幸・BR EV開発推進室長はそう話す。

デュトロZEVはドライバーの疲労を軽減するため、荷台の床の高さを従来の半分以下にまで下げた。運転席から直接、荷室に移動もできる(写真:日野自動車)

目指したのは“ドライバーに優しいトラック”だ。大きな特徴は、荷台の低さと独自のウォークスルー構造(商品としては通常の架装タイプも用意)にある。

同サイズのトラックは通常、荷台の高さが80センチメートル以上あるが、半分の40センチメートルにまで低床化。さらに運転席から直接、後ろの荷台にアクセスできるようにした。いずれもドライバーの疲労や危険を軽減するための工夫だ。

宅配ドライバーは1日の業務で100回以上の乗り降りを繰り返し、高い荷台を乗り降りする作業は肉体的な疲労が大きい。また、その都度、運転席から車道に降りるのは危険が伴う。超低床のデュトロZEVなら荷台の乗り降りが楽になるだけでなく、運転席から直接荷台に行って、歩道側のスライドドアから降車できる。

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