トラックのいすゞ、意外な「ドル箱事業」の実力 タイで戦略車種を8年ぶりにモデルチェンジ
現地時間の10月11日夜、タイ・バンコク郊外にあるコンベンションセンターの大会場は熱気に包まれていた。
この日開かれたのは、いすゞ自動車の新車発表会。現地で自家用車としても人気が高いピックアップトラック「D-MAX」の新モデルお披露目会だ。フルモデルチェンジした新型車を見ようと、招待された現地の販売店や部品サプライヤーの関係者、報道陣など3000人以上が会場に足を運んだ。
タイで圧倒的な人気を誇るピックアップ
日本から駆けつけた片山正則社長のあいさつ後、スモークとともにステージ上に新型車が登場。来場者たちは会場内に展示された多くの車両を取り囲み、実際に車内に乗り込んだり、車をバックに記念写真を撮るなどして閉会までにぎわった。
ピックアップとは、人が乗るフロント部分がSUV(スポーツ用多目的車)のような形状で、後部に開放型の荷台を備えた貨客兼用車のこと。北米で大人気の車種だが、タイでも歴史的に人気が高い。タイにおける昨年の自動車総需要104万台のうち、ピックアップだけで43%(約45万台)を占めるほどだ。
会社・個人が業務用に使用したり、農家が農作物の運搬に使うといった作業用途だけなく、いわゆる自家用車としても普及しているのが大きな特徴だ。「タイでは昔からピックアップに対する憧れのようなものがあり、ファミリーカーとしてピックアップを好んで購入する人が多い」(いすゞの現地販売担当者)という。道路事情が悪い地方になればなるほど、普通の乗用車よりも悪路に強いピックアップが人気だ。
車両価格はいちばん安い2ドアタイプでも50万バーツ(円換算で約175万円)、後部座席もある4ドアの最上位モデルになると倍以上する。現地の所得では非常に高い買い物で、ほとんどが長期のローンを組んで購入するのだという。
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