トラックのいすゞ、意外な「ドル箱事業」の実力 タイで戦略車種を8年ぶりにモデルチェンジ
そのタイ市場において、D-MAXはトヨタ自動車の「ハイラックス」と並ぶピックアップの2大ブランドの1つだ。一般乗用車を含めた全車種の中でも2社のピックアップは人気が図抜けて高く、毎年のように「タイで最も売れた車ランキング」の1、2位に並ぶ。
D-MAXの昨年の現地販売台数は14.9万台で、タイのピックアップ市場におけるいすゞの販売シェアはトヨタとほぼ同じ33%だった。勢力図としては、いすゞとトヨタでピックアップ市場の3分の2を押さえ、残りをアメリカのフォード(車種名は「レンジャー」)、三菱自動車(同「トライトン」)、日産自動車(同「フロンティア」)などが分け合っている。
資産としての価値が高いD-MAX
いすゞは50年以上前からタイでピックアップを販売してきた歴史があり、現地ではトラックよりもピックアップのメーカーとして有名だ。タイ事業を統括する谷重晴康・泰国いすゞ自動車社長は、「この国の消費者の間では、『いすゞのピックアップは燃費性能がよく、耐久性にも優れて壊れにくい』という評価が定着している」と話す。D-MAXは中古車も高値で取引されており、資産としての価値が高い点も人気の一因だ。
タイで普及しているピックアップは、北米市場のものより一回り小さなミドルサイズ。2ドアのシングルキャブ、4ドアのダブルキャブ、その中間で座席は前列のみだが車内後部に荷物置き場を備えたエクステンドキャブの3種類がある。いちばん安いシングルは業務・商業用途が大半で、エクステンド、ダブルとなるにつれて、ファミリーユースの比率が高まり、値段も上がる。
このうちシングルはトヨタが圧倒的に強く、いすゞのシェアが高いのは車内荷物置き場のある真ん中のエクステンドキャブだ。2人乗りのシングルでは家族全員を乗せられず、かといってダブルは高すぎて買えない。そこでエクステンドを購入し、荷物置き場を座席として使う家庭が多いのだという。いすゞはこのタイプの投入時期が早かったこともあり、今も販売台数の多くを占めている。
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