トラックのいすゞ、意外な「ドル箱事業」の実力

タイで戦略車種を8年ぶりにモデルチェンジ

今回のモデルチェンジは8年ぶりとなる全面刷新で、「すべての点において一から設計を見直した」(チーフエンジニアの牧英明氏)。車体の軽量化と剛性アップを図る一方、定評のあるディーゼルエンジンも全面的に見直し、高噴射圧、電制VGSターボなどの採用で出力や燃費、騒音性を改善。燃費性能は従来モデル比で2~7%向上した。

さらに外観デザインも一新した。とくにこだわったのがフロント部分のデザインだ。「競合車種と差別化する意味でも、フロントを見て瞬時にD-MAXだとわかる大きな特徴を出したかった。目に当たるライトのデザインも変え、虎をイメージした力強い、迫力のある顔つきにした」(牧氏)。

新型モデルは10月中旬からタイ国内での販売を開始。ほかの地域向けのモデルについては、タイのモデルをベースとして、各国の環境・安全規制に応じたエンジン仕様変更や車載カメラなどの装備追加を施し、新モデルへと順次切り換えていく予定だ。

商用トラックと並ぶ大きな柱

日本では商用トラックメーカーとして知られるいすゞだが、実際はピックアップも経営の大きな柱だ。同社の昨年の全車両販売台数64.8万台のうち、純粋な商用トラックは47%の30.6万台(国内8.3万台、海外22.3万台)。台数だけでみると、全量を海外で販売するピックアップ(派生型SUV「MU-X」を含め34.2万台)のほうがむしろ多い。

いすゞの片山正則社長(右)のほか、タイ国内のいすゞ車両販売を担う三菱商事の垣内威彦社長(左)も発表会に駆けつけた(記者撮影)

「ピックアップ事業の重要性は、単に台数の多さだけにとどまらない」。片山社長はそう言って、2つの理由を挙げる。1つはそのビジネスモデルだ。商用トラックは新車販売時の儲けが限られ、整備交換用パーツの供給などアフターサービスで開発費などの先行投資を回収する。一方、「ピックアップは1台1台の新車販売で利益を取るビジネスモデルなので、投資回収に長期間を要するトラック事業を補完してくれる」(片山社長)。

そしてもう1つが商用トラックの潜在ユーザー開拓だ。「仕事でD-MAXを使ってくれているお客さんが将来、商用トラックを買うときには、同じいすゞの「エルフ」を候補に入れてくれるはず。ピックアップにはそうした商用トラックの先兵的な役割もある」(同)。

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