「日本車の危機」感じざるをえないタイ脅威の数字 4年で激変した受注台数ランキングの顔ぶれ

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コロナ禍以来、4年ぶりにバンコク国際モーターショー2023を取材した(筆者撮影)
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まずは、ランキングから見ていただこう。「ある場所」における「ある期間」のメーカーごとの4輪車受注台数ランキングだ。

1位:トヨタ(6042台)
2位:ホンダ(4304台)
3位:MG(上海汽車 3929台)
4位:スズキ(3887台)
5位:GWM(長城汽車 3117台)
6位:いすゞ(3064台)
7位:マツダ(2989台)
8位:日産(2808台)
9位:BYD (2737台)
10位:フォード(1630台)

注目は、中国ブランドの躍進である。ここは伝統的に日本車が強い地域で、ランキングも日本車がトップ10の多くを占めるものの、トヨタとホンダに次いで3位にMGがランクインしている。

同社のルーツは英国にあるが、中国メーカーが“居抜き”で買った現在はエンジニアリングも中国主導である。また、GWM(グレート・ウォール・モーター)が5位、BYDが9位に入っている。

ちなみにコロナ禍前である2019年の同じランキングを見ると、中国車はMGの10位がトップ10の最上位だった。コロナ禍を挟んだわずか4年間で、中国車が急速に勢いを伸ばしたことになる。

バンコク国際モーターショーの開催期間中

「ある場所」における「ある期間」とは、何を隠そう「バンコク国際モーターショー2023会場」における「開催期間中」の受注実績だ。

バンコク国際モーターショーとは、東南アジア最大の自動車生産国であるタイ王国の首都バンコク郊外で、毎年春に開催される自動車ショー。トヨタやホンダなど日本勢をはじめ、タイでクルマを売る多くのブランドが参加する、同国で最も大きな自動車イベントの1つである。

2023年は3月20日の優良顧客を招くVIPデーからはじまり、翌21日が報道機関を対象としたプレスデー、そして22日から4月2日までの一般公開と合計2週間で開催された。

そんなタイのモーターショーがその他多くのモーターショーと大きく異なるのは、会場内で“新車の購入予約ができること”にある。

「クルマを買う場所」として家族で訪れる人も多い(筆者撮影)

一部のプレミアムブランドを除けば各ブースの裏が広い商談スペースとなっており、バンコクを中心に集められたセールススタッフが顧客の対応にあたって新車のオーダーを受け付けるのだ。

モーターショー会場では、会場限定の低金利キャンペーンといった特典が用意されて割安に購入ができることから、現地では家族揃ってモーターショー会場へクルマを見にきて、気に入ったらその場で予約していくという流れができている。

驚くのは、2023年のバンコク国際モーターショーの来場者数が160万人を超えていたこと。これは、2019年の東京モーターショーにおける無料エリアまで含めたカウントの130万人よりも多いだけでなく、昨今盛り上がりでは世界一といわれる中国のモーターショー(2023年の上海モーターショーは約90万人だった)をも超えている。

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