正しさより「優しさを選ぶ人」人生のゴールが違う がんの悩みを乗り越えた人が手にする生き方
がんになると人間関係の悩みが起こる。意外かもしれませんが、これは事実なんですね。
30代、40代はがんとの付き合いが始まる世代
がんになると人間関係で悩む理由がもう1つあります。それは、がんという病気が、年齢を重ねるごとに、少しずつ自分の世界へと近づいてくるからです。
若い人の多くにとって、がんは遠い世界の出来事のように思えるかもしれません。けれど、30代を過ぎる頃になると、知人友人から「近しい人が、がんになった」という話をときどき聞くようになります。
30代、40代というのは人間関係が広がっていく時期です。職場では中堅と認められる時期で仕事の質も量も上がり、それとともに職場の内外での付き合いが急に忙しくなります。また、プライベートな面についても、結婚すれば親戚が急に増えますし、子供ができれば子供の友達の親御さんたちとの付き合いが増えます。
こうして多くなった同世代の友人知人たちの中に、「身内ががんになった」という人がちらほらと現れ始める時期なんです。がんのリスクは誰にでもありますから、知人が増えればその周辺にがん患者が出る確率も増えるからです。
でも、たいていの人にとって、このころはまだ、がんは他人事という感じでしょう。けれど、さらに年齢を重ね、知人ではなく自分自身の身内が「がんになった」と発覚すると、もう他人事ではすみません。
「困った。どうしよう」
と悩むことになります。先ほども触れたように、親子の人間関係の実態を、改めて自覚させられるからです。
こんな病気ですから、まるで少しずつ、
「おまえも、いずれがんになるんだぞ」
と警告されているようなもので、その存在が近づいてくるたびに、自分のより身近な人たちとの関係を問い直されるんですね。
そして、さらに年齢が重なると、今度は自分にがんが見つかるかもしれないわけです。そうなると、もう「困った」どころではない。
「死ぬかもしれない」
という恐怖に襲われます。すると、今度は自分自身の配偶者や子供たちなどとの人間関係を揺さぶられるんです。
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