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マスク氏を「クレイジー」と評する人に欠けた視点 世界を席巻する「究極の仮説」がテスラを生んだ

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  • 竹内 薫 理学博士/サイエンス作家
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つまり、イーロン・マスクの思考の根底には、科学的な論理的根拠のようなものが存在していると考えていいでしょう。先の発言にしても単なる予言ではなく、確実に来る未来に対して危機感を持ちながら、「いまやるべきことは何であって、どのように未来を創造していけばいいのか」ということに対していくつもの仮説を誰よりも先に立てているのです。

世界を席巻する究極の仮説が存在している

たとえば、「電気自動車(EV)を開発して地球温暖化を食い止める」という発言にしても、これだけ切り取ってみると単なる野望のように聞こえますが、ここにもしっかりとした科学的センスを垣間見ることができます。

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現実問題として、天然資源には限りがあること、ガソリンによる二酸化炭素の排出によって環境に負荷をかけていることは根拠のある事実です。多くの人が「まだまだ先の話だろう」と考えているなかで、イーロン・マスクは「いまから手を打っておかなければ地球温暖化を食い止められないだろう」という仮説を立て、それを事業計画に落とし込み、テスラの「秘密のマスタープラン」として実際に実行に移しているのです。

2006年にイーロン・マスクによって発表されたこのマスタープランは、計画通りに実現できれば、テスラが成功するだけにとどまらず、世界の自動車市場が一気に電気自動車に舵を切るに違いなく、これがイーロン・マスクの着眼点だったのです。

こうしたイーロン・マスクの“目”のつけどころには、やはり世界を席巻する究極の仮説が存在しているといえます。ただ、その究極の仮説があまりにも大胆なので、イーロン・マスクを「夢追い人」「クレイジーな予言者」と揶揄する人はついていけないだけなのです。

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