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マスク氏を「クレイジー」と評する人に欠けた視点 世界を席巻する「究極の仮説」がテスラを生んだ

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  • 竹内 薫 理学博士/サイエンス作家
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「未来はこうなるだろう」と予測をするために仮説を立てるのではなく、「未来をこう変えていくためにはどうすればいいのか」という意思のもと、そのためにはいま自分たちにどういう武器や道具が揃っているのか、クライアントや消費者のマインドはどうなのかということを深く考えて、次の1歩を踏み出す、あるいは次の1手を打っていくための仮説を立てるということが、仮説脳の本質なのです。

事業がうまくいっているときこそ、仮説検証を

仮説というのは、企業(組織)の規模が小さければ小さいほど構築しやすい性質を持っているというのが私の持論です。これがどのようなことか、順を追って説明しましょう。

わかりやすい例でいえば、企業の事業計画があります。どんな規模の企業であっても、年度初めにはほぼ例外なく事業計画を立てると思います。この事業計画というのは、まさにいくつかの仮説に沿って立てていくわけですが、ある程度まで企業の規模が大きくなっていくと、ある一定の方向に舵を切って事業計画を立ててしまっていることが多いといえます。

もちろん、どの企業も最初は小さな組織から始まるわけですが、やがて企業が成長し、大きくなっていくにつれて、ある指針に沿って事業計画が立てられると、みんなが何の疑いもなくそれに乗っかってしまうのです。結果、どうなるか。GAFAがここまで世界を席巻した要因である「創造的イノベーション」が起こりにくくなってしまいます。創造的イノベーションが起こせない企業には衰退しかありません。

もし、「いま、うちの会社は事業がうまくいっている」ということであれば、いまのうちから早めに「なぜ、この事業はうまくいっているのか」「この事業がうまくいかなくなる可能性はあるのか」といった仮説を立てて検証しておくことをおすすめします。おそらく、うまくいっている事業というのも、ある仮説から始まっているはずです。

でも、うまくいっているときというのは、新たな仮説を立てることをやめてしまいます。やがて、「業績が低迷してきた」「新しい事業を始めなければ」といったことに直面します。しかし、そのときになって事業計画の見直しや方向転換をするための新たな仮説を構築しようとしても、やたら時間がかかったり、周囲の圧力で事業の方向変換そのものが難しくなるというわけです。

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【「究極の仮説」にたどり着けたのがGAFAだった】

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